大阪のITスタートアップHappyLifeCreatorsは、保育園・幼稚園での事務作業を効率化するサービス「HoiCa(ほいか)」に、園児の車内置き去り事故を防止する登園状況お知らせ機能を新たに追加した。小規模保育園であれば月額500円で使用可能。
2021年の福岡県中間市、2022年の静岡県牧之原市と相次いで起こったバスへの園児置き去りによる死亡事故や、11月に大阪府岸和田市で発生した保護者の送迎車内での子供置き去り死等、車内置き去りによって子供が犠牲になる痛ましい事故が続いている。
大阪府・吉村知事の「デジタル技術を使って、保育士の業務を減らしながら安全性を実現できないか。行政はそれをやるべき」との提言を受け、同社は保育システムHoiCaに園児の登園状況を通知する機能を追加、実装した。
今回追加された登園状況お知らせ機能では、従来の登降園管理の情報利用し、毎朝決まった時間に保護者と保育施設の両方に登園情報を通知。保護者と園のダブルチェックで見落としを防ぎ、保護者以外にも祖父母等複数名登録することで「連絡の見落とし」も防ぐ。バス通園と保護者による送迎の両方に対応し、車内への置き去りを徹底して防止する。
車載向けセンサーを取り扱う三洋貿易が2022年に行った調査では、子供を乗せて車を運転するドライバー2,652人のうち約3割が「子供を残したまま車を離れたことがある」と回答。子供の車内置き去りが起こる原因として「保護者の意識が低いから」と考える人が全体の7割を占めたが、一方で「用事を済ませてる間に子供を見てくれる人が少ないから」との回答も約3割にのぼり、共働き世帯の増加やワンオペ育児により余裕のない保護者が多いこともうかがえる。
保育施設の膨大な事務作業や慢性的な人手不足が深刻な問題として浮き彫りになる中、保護者・保育施設共に心がけだけではどうにもできない「うっかり」が重大な事故に結びついてしまうケースがある。HoiCaは、園の負担を増やすことなくデジタル技術で保育業務をサポートすることを目指し、本当に必要な機能に厳選してコストを抑えたサービスを展開。費用がネックとなっている保育施設でのICT化のきっかけとして導入を広めたい考え。