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APUJ「高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議」へ意見書提出

 日本私立大学協会(APUJ)は2022年11月14日に行われた文部科学省の「高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議」に意見書を提出。高等教育の修学支援新制度の論点の1つとなっている「機関要件の厳格化等」に対する見直しを求めた。

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高等教育の修学支援新制度について
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 日本私立大学協会(APUJ)は2022年11月14日に行われた文部科学省の「高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議」に意見書を提出。高等教育の修学支援新制度の論点の1つとなっている「機関要件の厳格化等」に対する見直しを求めた。

 文部科学省は、しっかりとした進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況に関わらず、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう、2020年4月から「高等教育の修学支援新制度」を実施。支援対象となる学生に授業料等の減免、給付型奨学金の支給が行われるよう、各学校種へ計5,196億円の予算(2022年度)を投じている。

 あわせて、この「高等教育の修学支援新制度」のあり方についての検討会議を継続して実施。11月14日に第4回会合を開催した。APUJは第4回会合におけるヒアリング要請を受け、「機関要件の厳格化等」に対する意見をとりまとめ、文部科学省に提出。APUJの小原芳明会長が意見書に基づき、機関要件見直し案への意見を表明した。

 「高等教育の修学支援新制度」では、支援を受けた学生が大学等でしっかりと学び、社会で自立し活躍できるよう、バランスと質の高い教育を実施する大学等を対象機関とするための要件「機関要件」を設定。その中で、教育の質が確保されず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学等に実質的な救済がなされることがないよう「直近3年度すべての在籍学生数が収容定員の8割未満」といった3項目に該当する場合は対象機関外とする経営要件を設定している。

 APUJは、「修学支援新制度の『機関要件見直し案』に対する意見」(意見書)の中で、機関要件に対する基本的考え方として、学生の責任ではない「機関要件による制限」に社会正義を見出すことは難しいとし、教育・研究の質や経営の安定性等は公的な質保証システムをはじめとする他制度で検討されるべきであり、学生の経済的支援を狙いとする修学支援新制度(個人補助)においては、機関要件は設けられるべきではなくむしろ撤廃されるべきとの考えを示した。

 そのうえで、「直近3年度すべての収容定員充足率が8割未満」の大学等を単独で対象外とする要件については厳に避けるべきと言及。私立大学には、定員に満たなくとも地方創生の拠点として地方の人材養成を担う大学や、教育の質保証に向けて入試で基準に達しなければ入学を許可しない方針をとる大学もあり、定員未充足の状況を過度に重視することは地域発展や質保証に向けた先進的な取組みをも阻害しかねないとした。

 日本私立学校振興・共済事業団の調査によれば、2022年度の入学定員充足率が8割の大学は全国で116校にのぼり、すでに全私立大学の約20%を占める。18歳人口が年々減少する中、定員未充足の大学を公的支援から排除する政策は受け入れられないが、もし「直近3年度すべての収容定員充足率が8割未満」が単独で対象外の要件とされるのであれば、検討会議の案で示された「直近の進学・就職率が9割を超える場合は確認取消しを猶予する」措置のような救済措置が必須であるとした。

 私立大学で学ぶ学生に対する経済的支援策については、私学助成等による「機関補助」と修学支援新制度等の「個人補助」の両輪のバランスのもとに進められることが重要との意見を示している。


《畑山望》

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