「人文科学・社会科学系における大学院教育改革の方向性~自主的な『問い』の尊重と教育課程として果たすべき責任の両立に向けて~」は、中央教育審議会大学分科会大学院部会が作成した中間とりまとめ。これまでの議論や現状等を踏まえ、人文科学・社会科学系大学院の課題と改革の方向性をまとめている。
現状については、人文科学・社会科学系の学部卒人口に対して、大学院卒人口が極めて少ないと説明。「社会的評価や認知の不足」「大学院そのものの課題」という2つの課題をあげ、「それぞれの課題は相互に密接に関連しており、全体としての解決を目指す」としている。
人文科学・社会科学系の高度人材の能力や活躍が、当事者である学生も含め、大学院と産業界等の社会との間で十分に理解・共有されていないという「社会的評価や認知の不足」の課題に対しては、改革の方向性として「人材養成の目的明確化」と「高度人材の価値認知」を掲示。相互理解・協働に向けた教育研究プログラムの推進と体制の構築を掲げている。
大学院の人材養成モデルが、必ずしも学生の幅広いキャリアパスを念頭に置いたものとなっておらず、教育・研究指導の質保証が十分になされていないという「大学院そのものの課題」に対しては、「幅広いキャリアパスを念頭においた教育課程・研究指導と質保証」「学生の自主的で多様な『問い』に対応できる研究指導体制の構築」を改革の方向性に示した。
その他、検討の骨子としてキャリアパスの俯瞰、研究科や専攻の規模・構造的課題等、人文科学・社会科学系の大学院教育をめぐるさまざまなデータや現状、方向性もまとめている。また、「人文科学・社会科学系における大学院教育の関連データ集」もあり、中間とりまとめとともに文部科学省Webサイトで公開している。