授業においてインターネットに接続するシーンとして、YouTube等の動画コンテンツの視聴やデジタル教科書・教材、授業支援システム等の使用があげられるが、それぞれの利用シーンで実際にどれほどの回線速度が出ていれば快適に授業を行えるのだろうか。
リシード 学校インターネット回線速度計測
文部科学省は、学習者用端末1台あたりで必要になる通信帯域(回線速度)について事業者ヒアリングを実施し、「学習系ネットワークにおける通信環境最適化ガイドブック」において、その結果を示している。以下は、それをもとに編集部で作成した表だ。

デジタル教科書については、見開きデータ容量を2MB、ダウンロードに要する許容時間を3秒と仮定し、児童・生徒が一斉に閲覧する(ページをめくる)ことを想定した場合の目安である。
実際にクラス全員でサービスを利用している場合には「必要な回線速度の目安(1台あたり)」の項目を、授業前等に1台の端末で回線速度を測定する場合には「必要な回線速度の目安(40人1クラスあたり)」を参照し、十分な速度が出ているかを確認してほしい。
なお、端末やクラス、学校あたりの必要な通信帯域の詳細な算出方法については、「学習系ネットワークにおける通信環境最適化ガイドブック」を参照してほしい。
ネットワーク構成とボトルネック
日々の授業で利用するネットワーク(学習系ネットワーク)は、学校から直接インターネットに接続する「直接接続」、各学校からの接続を自治体が構成した教育ネットワークへ集約してからインターネットに接続する「自治体集約型」、自治体で集約したネットワークをさらに都道府県ネットワークで集約してからインターネットに接続する「都道府県集約接続」に分類される。
各パターンにおいて、通信ネットワークのボトルネック(※)となりうる箇所は異なる。端末の再起動等の簡単な対策でも回線速度の問題が解消できない場合には、学校や自治体レベルでネットワークのアセスメントを実施してボトルネックとなっている要素を特定し、学校のアクセスポイントやネットワーク接続形式を見直す必要があるだろう。
※通信ネットワークのボトルネック:情報の流通経路のうち、もっとも情報の流れが遅くなる部分、速度低下を招く要因のこと。

リシード「学校インターネット回線速度計測」
リシードでは、「学校インターネット回線速度計測」サービスを提供している。利用料は無料で、全国の学校で利用できる。
リシード 学校インターネット回線速度計測
「学校インターネット回線速度計測」は、サーバ環境に左右されない通信速度測定システムとして定評があり、今年サービス開始20周年を迎えた「RBB SPEED TEST(アールビービー スピードテスト)」を、学校向けに改良して提供するもの。
全国の国公立・私立「小学校」「中学校」「高等学校」「大学」「専門学校」に対応しており、学校名・接続状況・回線(不明な場合は選択不要)を選択して測定するというシンプルな操作で利用し、授業前の確認、教室や機器ごとの回線速度の違いの把握などに活用できる。
「学校インターネット回線速度計測」を定期的に実施し、上掲の表とあわせて学校の回線環境の把握・改善に役立てていただきたい。
なお、リシードでは今後、計測データの分析や関連イベント等、学校のICT環境整備を応援する取組みを展開予定だ。