東京都教育委員会は2022年3月10日、都立高等学校等における校則等に関する取組状況について発表した。校則等について自己点検に取り組むよう各校に通知し取り組んだ結果、「髪を一律に黒色に染色」「下着の色の指定」といった5項目196課程の廃止が決定したという。 令和4年度よりすべての都立高等学校等において新学習指導要領が実施され、課題を見いだし、主体的に考え、多様な立場の人と協働的に議論し、納得解を生み出す活動が重視されるようになる。東京都教育委員会では、各校が教育活動を通じて資質・能力を育成する過程において守るべき校則等に対する生徒の理解を深め、自分たちのものとして守っていく意識・姿勢を身に付けることができるよう、教職員や生徒、保護者等が話しあう機会をもつといった過程を経て自己点検に取り組むよう通知した。 校則等の自己点検の取組みは2021年4月から12月にかけて実施。いわゆる「ブラック校則」と呼ばれるような、必要性が疑われる校則等を6項目あげ、各校でいくつ該当するものがあるかを把握したうえで、教職員や生徒、保護者等が話しあう機会を設定し、さまざまな意見を聞き、教職員間で協議し、改訂するといった取組みを行った。 自己点検の対象となった項目は、「生来の髪を一律に黒色に染色」「頭髪に関する届出(任意)の提出」「ツーブロックを禁止する指導」「登校しての謹慎(別室指導)ではなく自宅謹慎を行う指導」「下着の色の指定に関する指導」「高校生らしい、等表現があいまいで誤解を招く指導」の6項目。全都立高等学校等の全日制・定時制のうち、6項目あわせてのべ216課程で該当する校則があることが明らかになった。 各校では、Googleフォームを活用して全校生徒の意見を聞く、髪染め禁止の理由を先生に聞く、といった生徒による取組みが行われ、「市販のベスト・カーディガンも着用可能とする」「頭髪指導に関する記載を削除する」等の改善が図られたという。点検の結果、「頭髪に関する届出(任意)の提出」を除く5項目、計196課程はすべて廃止が決定。「頭髪に関する届出(任意)の提出」のみ、35課程が廃止を決め、20課程が引き続き校則等として残ることとなった。 都教委は、生徒が社会の一員として主体的に自校の校則について考え・守ることで社会参画意識を醸成することができたと評価している。