国立高等専門学校機構と日本技術者教育認定機構(JABEE)は2022年3月1日、高等専門学校の15歳から5年間一貫の本科教育に対して、国際的な教育の質保証の枠組みである「国立高専教育国際標準」を開発することで合意した。2023年度から各国立高専の教育状況について順次評価する。 これまでの高等専門学校は、技術者教育の国際的な質保証の枠組みとして、専攻科を含む本科4年から専攻科2年の教育プログラムとしてJABEE認定を受審。一方、高専本科は、15歳からの5年間一貫教育により技術者を育成する日本特有の制度であり、現在この教育制度に相当する国際的な質保証の枠組みは存在していなかった。 JABEE認定とは、日本技術者教育認定機構(JABEE)が国内で唯一の世界標準の枠組みであるワシントン協定で技術者教育の認定を行っているもの。ワシントン協定は、1989年に設立された技術者教育の実質的同等性を相互承認するための国際協定。アメリカ、カナダ、イギリス等の国々の21団体と暫定加盟の7団体が加盟している。日本技術者教育認定機構は、2005年6月に日本を代表する認定団体として正式加盟が認められた。 今回の取組みでは、日本特有の制度である高専の本科教育について質保証の枠組みを2022年度中に開発。高専の教育の質保証を国内外に対して明示する。また、2023年度からこの枠組みに基づく評価において、企業関係者等を積極的に加えることで、社会の求める人材像を積極的に教育内容に反映させ、時代に応じた人材育成ができる仕組みを整えることを目指す。 高専制度創設60周年の節目を迎える国立高等専門学校機構理事長の谷口功氏は、「JABEEのご協力のもと、独自の国立高専教育 国際標準を確立・活用して、皆様と一緒にチャレンジ精神溢れる人材の育成に努め、世界のKOSENへと進化・発展してまいります。」とコメント。 日本技術者教育認定機構会長の富田達夫氏は、「この枠組みによる本科教育の評価結果をJABEEが行っている技術者教育プログラム(本科4年から専攻科2年まで)の認定審査に活用することを検討しています。これにより受審の負担を軽減し、新たにJABEEの認定を目指すプログラムが増加することを期待しています 」とコメントしている。