変化した入学式
年度末に向けて、進級や卒業に関する準備が進むと同時に、来年度の入学に関する準備を担当されている先生方もいると思います。入学は4月ですので新年度のお仕事というイメージをもっている方も多いですが、学校説明会、就学児健診、通っていた園や小学校との引継ぎ、学用品の発注、クラス分けそして入学式の企画・準備等、実は前年度のうちのお仕事が盛りだくさんです。今回は入学に関するお仕事を担当されている先生方のために、感染対策を意識した入学式のアイデアについてご紹介します。
コロナ禍で、学校の行事は大きく変化してきました。入学式も同じく、各校では実施の方法を工夫しています。具体的には、時間の短縮、密を避ける、距離をとる、在校生が参加できない等が大きな変化です。文部科学省からの通達、そして各自治体からの通達に沿うように、入学式を計画しなければなりません。この通達も、感染状況によって変更されるので、フェーズが1段階上がった場合にはどうするかまで見越して計画立てておくことをお勧めします。
コロナ禍での入学式の工夫
お子さんがわくわくドキドキしながら初めて登校する日。安心して学校生活を始めてほしいですよね。1年生のためにそのときベストと思われる形を模索することが、学校と子供・保護者の信頼関係を作っていく一歩になるのではないかと考えます。各自治体・各学校の事例もわかってきましたので、ご紹介いたします。
時間の短縮
多くの学校で短縮されたものは、「来賓式辞」「電報の紹介」「上級生のパフォーマンス」です。「来賓式辞」は書面にして配布したり、「電報の紹介」は入学式の日だけでなく保護者会の日等にも掲示して読むことができるようにしたりして、対応できます。小学校では、2年生がパフォーマンスを披露していた学校も多いです。「1年間でこんなことをお勉強するよ。今日から小学生の仲間入りだよ。仲良くしていこうね。」というメッセージを伝える趣旨のものなのですが、こちらも後日授業の中で動画を見せることで代えられます。また、入退場や写真撮影に関する子供や保護者の移動を極力減らすことも、時間短縮のポイントです。
密を避ける
最低限の出席者である1年生とその保護者以外は、極力出席させないというのが定番になってきています。具体的には、在校生の参加はなし、地域の方や園の先生、PTA等の来賓の参加はなし、各家庭2名まで参加可とする、職員も正規職員のみ参加等があげられます。また、教室内の密を避けるため、保護者は教室に入らず体育館で待機させる、集合写真は子供のみとする等の対策をしている学校が多いようです。1年生にとっては初めての場ですので、感染対策についての意識も薄れやすく、人との距離感がつかみにくいのが実情です。手指の消毒や相手との距離をとることについて、口頭の指示だけでなく、できるだけ視覚化したわかりやすい指示が必要になります。
在校生が参加できない
小学校では今まで、新6年生が入学式に参加していました。式の前後には役割があり、6年生にとっても「今日から学校の代表なんだ!」という自覚をもつ意味がありました。たとえば、玄関で1年生に名札をつける、教室まで案内する、絵本を読んだりトイレに連れて行ったりと、式が始まるまで1年生の相手をする、在校生代表の言葉を述べる、写真撮影の準備や片付け、式後には体育館の片付けを行う等です。在校生が参加できないとなると、これらの仕事もすべて職員が担う必要があります。名札つけや教室までの案内は保護者に任せ、体育館の片付けは翌日6年生にやってもらう等、本当に職員がやらなければいけない仕事を精査する必要があります。また、どの職員がどんな動きをしているか、みんなが把握しておくことで、何かトラブルが起きたときも誰に対応してもらえるか判断できます。
保護者にとっては、しっかりと対策したうえで実施してくれていること自体が嬉しいことであり、保護者と学校の信頼関係の第一歩です。活動に制限があることは保護者も理解している方が多いですので、「どんな実態なので、こんな対策をとっている」としっかり説明することが大切です。
1年生がこれからの学校生活を楽しくスタートできるよう、各学校の実態に合わせて工夫していきましょう。
幸島 由起子
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