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【相談対応Q&A】フリースクールを出席として認めてほしい

 近年、不登校の児童生徒数は増えています。そういった中で「フリースクール」を子供の学びの場として選ぶ家庭が一定数います。今回のテーマは「フリースクールを出席として認めてほしい」です。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第64回のテーマは「フリースクールを出席として認めてほしい」

 近年、不登校の児童生徒数は増えています。そういった中で「フリースクール」を子供の学びの場として選ぶ家庭が一定数います。今回のテーマは「フリースクールを出席として認めてほしい」です。

小中学生の不登校が増加


 令和3年10月に文科省から出された「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると不登校等に関して次のように書かれています。
・小中学校における不登校児童生徒数は19万6,127人で前年度から1万4,855人(8.2%)増加
・過去5年の傾向として小中学校とも不登校児童生徒数、割合は増加している
 (小学校:平成27年度0.4%→令和2年度1.0%、中学校:平成27年度2.8%→令和2年度4.1%)
・不登校児童生徒数は8年連続で増加している
・約55%の不登校児童生徒が90日以上欠席している
・不登校児童生徒の65%にあたる12万8,833人の児童生徒が学校内外の機関等で相談・指導等を受けている

フリースクールを出席として扱うか?


 このように不登校の子供が増えている状況において子供の学ぶ場として「フリースクール」を選択している家庭があります。そこで問題となるのが学校での「出欠席」についてです。

 文科省は令和元年10月に出した「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の中で次のように説明しています。

「6.不登校児童生徒の学習状況の把握と学習の評価の工夫
不登校児童生徒が教育支援センターや民間施設等の学校外の施設において指導を受けている場合には、当該児童生徒が在籍する学校がその学習の状況等について把握することは、学習支援や進路指導を行う上で重要であること。学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には、当該学習の評価を適切に行い指導要録に記入したり、また、評価の結果を通知表その他の方法により、児童生徒や保護者、当該施設に積極的に伝えたりすることは、児童生徒の学習意欲に応え、自立を支援する上で意義が大きいこと。」

 フリースクールを含めた学校外の民間施設等の取組みを適切に評価し、学習指導要領等に記載をするようにとされています。学校に登校できるようにすることだけを目指すのではなく、その子供に合った環境で学ぶことができるようにすることも大切だとしています。

 現在、小中学校では、不登校の子供がフリースクールで学んだものを出席として扱うことが多くなっています。子供がフリースクールでどのような取り組みをしているのかということをまとめたものを1か月に1度といったペースで学校に提出するやり方が多いようです。出欠席の扱いに関しては「校長が判断する」ということになっています。先ほど触れた通知等を踏まえ、フリースクール等の学校外の教育施設が適切(学習指導要領に準じて)に指導している場合は、出席と認めることになります。近年、フリースクールでは、こういったことから、学習指導要領に準じた指導をしている所が多くなっています。学校としては、不登校の子供のフリースクールの出欠席について問い合わせがあった場合は、そのフリースクールの状況を調べ、判断していくということになっていくでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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