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【クレーム対応Q&A】学芸会で希望の役になれない

 学校に寄せられるさまざまなクレーム。クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第54回のテーマは「学芸会の役決めで自分の子どもがなりたい役になれなかった」。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第54回のテーマは「学芸会の役決めで自分の子どもがなりたい役になれなかった」。

公平に役決めが行われることが重要


 コロナによって一時的に学校行事が中止、延期になりました。コロナが少し落ち着きを見せていている現在(2021年10月)、また学校行事を再開する学校が増えています。今回は、学芸会や学習発表会等における役割決めがテーマです。「自分の子供が役決めでなりたい役になれなかった」というものです。

 コロナによってさまざまな学校行事が変更を余儀なくされました。遠足や修学旅行等の校外学習、その他にも、運動会、学習発表会等です。これまで何となく前年通りで行っていたものについて、その存在意義を考え、現状ではどのような形で行うことが望ましいのかを考える必要がありました。1つ1つの学校行事の大切さに気づかされた日々でもあったと思います。

 そういった学校行事の中でも学芸会や学習発表会等において、家庭から色々なクレームがあるものが「役割決め」です。劇等の場合は配役についてですし、発表会等では、どの役割を誰がするのかということについてです。音楽関係の場合は、誰が伴奏をし、指揮者をするのかということ等も同様です。

 家庭からのこういった申し出に対しては、丁寧に話を聞き、こちらの状況を説明していきます。何か特別なことをするのではなく、学校として当たり前のことをしていくことが大事になります。ただこういった対応をしていくうえで、前提となることが「公平に役割決めが行われている」ということです。完全に公平にということは難しいまでも、親を含めた他の人が納得することができるレベルで公平であるかということが大事になってきます。

公平に決めた役割は変更しない


 上記のようにある程度公平に役割決めが行われていたのであれば、親が何かを申し出てきたからと言って、それによって役割を変えるようなことは避けるべきです。そういったことをしてしまうと「言った者勝ち」のようになってしまいます。その親は何かある度に自分の子供が得をする(損をしない)ように学校の連絡をしてくるようになってしまいます。

 さらに、そういった噂が保護者の間で回るようになり、他の親もさまざまな申し出をしてくるようになってしまいます。多くの親の申し出に対応しようとしても、それはとても難しいことです。結局、親からの信頼を失うことにつながります。

役割決めが公平でなかった場合は…


 こういった状況において、もっとも難しいことが、役割決めが公平に行われていないと思われる場合です。教師が一定の子供を優遇した状況で役割決めが行われた場合や子供の人間関係等において投票の際の票のやり取りのようなことが行われた場合等です。クラスの状況があまり良くない場合にこういったことが起こります。そういったことを親から指摘された場合には教師の立場が難しいものとなります。こういった場合の対応は2つが考えられます。1つは、子供にきちんと説明をし、公平な形で役割決めをやり直すことです。もう1つは、その時に決めたものはそのままでやり通すというものです。どちらにしても、すっきりとはせず、モヤモヤしたものが残ってしまいます。

 やはり「公平であること」がとても重要になります。行事の役割決め等の際には、教師はそういったことを常に意識をし、対応していくことが求められます。1つ1つの仕事を丁寧に取り組んでいくことが、結果として仕事をスムーズに進めていくことにつながります。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられたクレームの他、保護者が学校へ伝えたクレーム等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたいクレーム事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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