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【相談対応Q&A】宿題しない子を叱ってほしい

 「子供が宿題をしない」ということはいつの時代においても子供のいる家庭における課題の一つでしょう。今回は「宿題をしないので厳しく叱ってほしい」をテーマにしたいと思います。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第48回は「宿題をしないので厳しく叱ってほしい」。

学校と家庭の分担は?


 「子供が宿題をしない」ということはいつの時代においても子供のいる家庭における課題の一つでしょう。一昔前よりも子供の周りに子供を惹きつける物が増えています。そういった状況において「子供が宿題をしないので何とかしてほしい」という親からの相談があることは理解できます。今回はそういったことをテーマにしたいと思います。

 「宿題」について考える時、学校(教師)はどこまでを担当し、家庭(親)がどこまでを担当するのかという問題があります。まず「宿題を出す」という部分は学校が担当することになります。家庭で独自に親が子供に勉強をさせる際は「宿題」という言い方はしないことがほとんどです。

 次に「子供が宿題に取り組む」という部分は、学校と家庭のどちらの担当なのかを決めるのは少し難しくなります。家庭において子供がきちんと取り組むことができるような仕組みを作ることまでが教師の役割だと考えれば、一定部分は教師の担当です。実際に取り組むのは家庭でのことなので、実際にできているのか等に関わるのは親の役割だと考えれば、親の担当ということになります。この部分をどのように考えるのかによって、「子供が宿題をやらない」ということに対する考え方に違いが出てきます。

宿題の扱いについて保護者に説明する


 他にも、答え合わせはどのようにするのかということもあります。取組みによっては、親が丸つけをするような場合もあります。通常は教師が学校でチェックすることが多いです。このように曖昧な部分があるのが学校の宿題です。4月に行われる懇談会(保護者会)において、こういった宿題の扱いについて親に対して説明をすることが望ましいです。教師と親で共通認識を持つことができれば、子供の宿題への取組みの質の向上や家庭でのトラブルを減らすことにつながります。ただ、実際には4月の懇談会では、他に話題にすること(たとえば、PTAの役員決め等)があり、こういった部分まで話題にすることができていないのが現状でしょう。

 現在、日本中で行われているGIGAスクール構想による一人一台末端の取組みでは、これまでとはまた少し違ったことを考える必要も出てきます。先ほども例に挙げた「採点」等は、自動でできることも多いです。また、学びの個別最適化の中でそれぞれの子供が取り組む内容が違ってくる場合もあります。そういった中で、取り組む内容の進捗管理等をどのようにしていくのかという問題が出てきます。望ましい形としては、Web上の進捗管理のページを教師も親も共有できる形でしょう。

宿題をしない原因を探る


 「宿題をしない」ということに対しての実際の対応としては、宿題をしない原因を把握することが大切になるでしょう。これは宿題に関することだけではありません。子供が忘れ物をよくしてしまう等も同様です。その原因を探ることで、改善の道筋が見えてきます。原因を探ることは、教師だけで行うものではなく、親と連携しながら取り組んでいくことが望まれます。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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