熊本大学は2021年4月14日、教員に対して行った「コロナ禍における授業の実施状況等の調査」結果を公表した。調査では、教員の8割以上が、授業準備時間がコロナ禍以前よりも増加していたことがわかった。 調査は、2020年度前学期の授業実施から定期試験および成績評価に至る一連の活動を通じ、授業運営の状況を把握し、今後の遠隔授業等を実施するうえで、遠隔授業等の在り方の検討に役立てることなどを目的に行われた。対象は2020年前学期の授業担当教員(非常勤講師を含む)で、Moodle(大学の学習管理システム)のアンケート機能によって実施。調査期間は、2020年11月9日~12月28日、回答数は338件。 前学期の授業期間中と昨年度 (コロナ禍以前)を比較した場合、活動に費やす時間の変化を聞くと、8割以上の教員は授業準備時間がコロナ禍以前よりも増加。さらに、6割近い教員は課題・レポートの採点・添削に要する時間がコロナ禍以前よりも増加していた。 授業課題については、半数近い教員は「概ね毎回」授業時間外に行う課題(宿題)を課していた。また、約4割の教員は授業時間外に行う課題の頻度をコロナ禍以前よりも増加させていた 。2020年度前学期に、対面授業と同様の形式(教室での集合形)で試験を実施した経験があると回答した教員は、4分の1にとどまった。試験準備にかける時間は、コロナ禍以前と比べて3割以上の教員で増加し、成績評価にかける時間は4割以上の教員で増加していた。 学生の授業や課題に対する取組み・姿勢や学修成果を前年度と比較すると、「以前よりもよくなった」と答えた教員は23~27%、「以前よりも悪くなった」と答えた教員は8%だった。それ以外の教員は「変化なし、一概には言えない、わからない」と評価した。 熊本大学は、今回の調査結果を今後の遠隔授業等を実施するうえでの授業設計、環境整備、サポート体制およびFD活動の見直し並びにアフターコロナ下での遠隔授業等の在り方の検討資料(エビデンス)として活用する予定。