東京都教育委員会は2021年4月8日、2022年度(令和4年度)に使用する都立高等学校・都立中等教育学校(後期課程)・都立特別支援学校(高等部)用教科書の採択方針を公表した。各学校における学校教育法附則9条第1項の規定による教科用図書選定の留意事項などをまとめている。 教科書には、文部科学省の検定を経て発行される「文部科学省検定済教科書」と文部科学省が教科書の著作・編集を行ったうえで発行される「文部科学省著作教科書」がある。高等学校や中等教育学校(後期課程)、特別支援学校、特別支援学級では、適切な文部科学省検定済教科書や文部科学省著作教科書がない場合、学校教育法附則第9条の規定に基づき、他の適切な図書を教科書として使用することができる。 公立学校の教科書を採択する権限は、その学校を設置する教育委員会に属している。東京都内の学校で使用する教科書のうち、都立学校は東京都教育委員会、区市町村立学校は区市町村教育委員会、国立学校や私立学校は校長が採択権者となる。 今回、東京都教育委員会は、地方教育行政の組織および運営に関する法律第21条第6号に基づき、2022年度に使用する都立高等学校・都立中等教育学校(後期課程)・都立特別支援学校(高等部)用教科書の採択方針を決定した。 文部科学省検定済教科書および文部科学省著作教科書の採択方針によると、東京都教育委員会は同教委が作成した高等学校用教科書調査研究資料および各学校における教科書の選定状況を総合的に判断し、各学校で使用することが適当と認める教科書を採択する。 東京都教育委員会は採択に先立ち、「高等学校用教科書目録(令和4年度使用)」に登載された教科書のうち、学習指導要領に基づき新たに文部科学省の検定を経た教科書について調査研究する。各学校に対しては、校長の責任と権限の下、「校長を委員長とする教科書選定委員会を設置する」などに留意して教科書の選定を行うよう指導する。 学校教育法附則第9条第1項の規定による教科用図書の採択方針では、東京都教育委員会は図書の内容および各学校による選定状況等を総合的に判断し、各学校で使用することが適当な図書を附則9条本として採択するよう定めている。 各学校における選定については、東京都教育委員会が採択に先立ち、各学校に対し、附則9条本の使用が必要であると判断した各学校において、校長の責任と権限の下、「各学校に設置する教科書選定委員会で十分に協議する」などに留意して附則9条本の選定を行うよう指導する。 附則9条本は、教育課程に位置付けられた教科または科目で使用することが明確であり、「内容が正確中正である」「学習の進度に即応している」「表現が正確適切である」「保護者の経済的負担が過度にならない」という要件を備えるものを選定する。 また、東京都教育委員会は附則9条本の採択に先立ち、各学校が選定した図書について、各学校の教育課程に位置付けられた教科・科目の主たる教材として、原則としてその内容の全部について年間を通して授業することができるものとなっているかなどを調査する。