文部科学省は2021年1月29日、大学や専門学校などに向け、大学等における新型コロナウイルス感染拡大を防止するための取組みの徹底について学生や教職員への周知と対応を求める通知を出した。これからの時期に開催を控える卒業式や入学式、それに伴う懇親会などについても改めて注意を呼びかけている。 1月20日時点の新型コロナウイルス陽性者を年齢別に見ると20代がもっとも多く、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言においても「比較的軽症または無症状の若い年齢層が気付かずに家庭や高齢者施設に感染を広げ、結果として重症者や死亡者が増加するおもな要因のひとつとなっている」とし、「この年齢層の一部にメッセージが伝わりにくく、十分な行動変容に繋がらなかった」ことが指摘されている。文部科学省ではこうした状況を受け、各大学等における感染対策や学生および教職員への注意喚起について、留意したい事項を改めて整理した周知文書を通知した。 通知の中では、学生の健康状態の把握、学生寮や課外活動における感染対策、懇親会などの感染リスクの高まる場面における注意喚起の徹底、卒業式・入学式といった式典の対応などについて注意点をまとめている。内容を確認し漏れなく対応するよう求めているほか、学生ひとりひとりに情報が確実に伝達される手段を確保し、注意喚起を徹底するよう呼びかけている。 特にこれからの時期に催される卒業式や入学式などの式典や行事については、これらの式典が学生にとってかけがえのない行事であることを十分に踏まえたうえで、各大学等において実施時期の地域の感染状況を見極めつつ開催について判断するよう要請。開催すると判断した場合には、基本的な感染対策を行うほか、会場の参加人数を抑える(在学生の参加を取りやめる・保護者の参加人数を最小限とする・複数の会場に分散するなど)、式典の内容を精選し時間を短縮する(祝辞を割愛する・式辞等を文書で配付するなど)といった工夫例を具体的に提示し、これらの対策を講じたうえで開催するよう求めた。 また、式典後の懇親会などについては、飲食を伴う懇親会が感染リスクが高まる「5つの場面」に該当することから、正確な情報提供を行うとともに、特に緊急事態宣言の対象区域については自粛も含めて検討するよう注意喚起を促した。一方で、卒業式などを開催しないと判断する場合は、時期をずらした式典の実施や代替行事を実施するなど、学生に配慮した対応を取るよう求めている。 資料は文部科学省のWebサイトから閲覧可能。感染リスクが懸念される学生寮での具体的な対策例や、経済的な支援を必要とする学生が活用できるさまざまな支援策などについてもまとめている。