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文科省、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討結果公表

 文部科学省は2020年12月25日、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議において、「国立大学法人の戦略的な経営実現に向けて~社会変革を駆動する真の経営体へ~」として検討結果(最終とりまとめ)を公表した。

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国立大学法人の戦略的な経営実現に向けて~社会変革を駆動する真の経営体へ~最終とりまとめ【概要】
  • 国立大学法人の戦略的な経営実現に向けて~社会変革を駆動する真の経営体へ~最終とりまとめ【概要】
  • 国立大学法人と国との関係(見直し前後の比較)
 文部科学省は2020年12月25日、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議において、「国立大学法人の戦略的な経営実現に向けて~社会変革を駆動する真の経営体へ~」として検討結果(最終とりまとめ)を公表した。

 国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議は、国立大学と国との自律的契約関係を再定義し、真の自律的経営に向け、国立大学法人法等関連法令の改正や新規創設を含めて検討を行うもの。2020年2月から12月にかけて、計11回の会議で検討を重ねてきた。

 検討会議では、国は国立大学法人に負託する役割や機能の発揮ができる環境構築に責任をもつとともに、法人が自らの裁量で機能を拡張できるよう、規制による事前管理型から事後チェック型へ移行するため、新たな枠組み(自律的契約関係)を構築するべきと主張。また、国立大学法人は国から負託された業務を確実に遂行することに加え、ステークホルダーを巻き込んだ大学経営モデルを構築するため、活動成果の可視化や、徹底した情報公開による透明性の確保、さらには外部の視点を取り入れた評価の多元化を講ずるべきとしている。

 国立大学法人と国との関係(自律的契約関係)については、「中期目標・中期計画の在り方」「評価の在り方」「エンゲージメントの在り方」「内部統制に係る組織の在り方」「会計制度・会計基準」「人事給与マネジメント」の見直しを提言。「中期目標・中期計画の在り方」では、国は国立大学法人に求める役割や機能に関する基本的事項を大枠の方針として示すべきとし、法人はその中から自らの大学経営の目標に照らして、自身のミッションとして位置付けるものを選択し、それを達成するための方策について、自らの責任で6年間で達成を目指す水準や検証可能な指標を中期計画に明確に規定することが不可欠とした。

 また、国は国立大学法人が経営裁量の拡大を可能とする規制緩和を行うべきとし、おもに「(1)先行投資財源の確保とその循環拡大」「(2)定員管理等の柔軟化」について検討。(1)を実現する取組みとして、長期借入金の借入れ・債券発行や出資対象事業の拡大、(2)を実現する取組みとして、学部・学科の再編等を伴う定員変更手続きの簡素化や、不断の改革に取り組むような場合に限り特例的に、学部収容定員の増を実施することなどをあげている。

 検討会議は今後、組織の新陳代謝やリソースの戦略的再配分を可能とする経営力の実行性を高めるとともに、ステークホルダーへの徹底した情報公開と厳しいモニタリングを通じて資金循環を駆動させ、大学経営のニューノーマルを日本発モデルとして創出することを期待するとしている。
《桑田あや》

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