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【大学受験2021】オンライン面接に課題あり…全国高校長協会が要望

 全国高等学校長協会は2020年10月22日、2021年度(令和3年度)大学入学者選抜について文部科学省に要望書を提出した。オンライン面接中の通信切断を受験者の責任とする大学があるなどの課題をあげ、生徒が不利益を被ることがないよう、大学への指導・助言などを求めている。

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 全国高等学校長協会は2020年10月22日、2021年度(令和3年度)大学入学者選抜について文部科学省に要望書を提出した。オンライン面接中の通信切断を受験者の責任とする大学があるなどの課題をあげ、生徒が不利益を被ることがないよう、大学への指導・助言などを求めている。

 全国高等学校長協会は10月上旬、「今年度の大学入学者選抜の実施状況の調査」を実施。その結果、コロナ禍に対応するため、多くの大学でオンライン面接が行われており、さまざまな課題があることがわかったという。文部科学省が9月9日付で発出した「令和3年度大学入学者選抜におけるオンラインによる選抜実施について(依頼)」の趣旨に反する扱いが行われていることを「極めて遺憾」とし、今回の調査結果を氷山の一角ととらえ、入学者選抜の実態状況の把握、大学に対する指導・助言を継続的に行うよう求めている。

 調査結果によると、面接中に通信の切断があった場合は受験者の責任としている大学もあるが、高校や受験者によってはオンライン面接を行う通信環境が整っていないこともある。生徒の自宅を試験会場とする場合、自宅の通信環境、カメラ付きのパソコンやスマートフォンなどを用いて静かな環境の部屋で試験を受けることが必要になるが、「生徒は必ずしもこうした環境下にいるわけではない」と説明。生徒はオンラインでの対応に不慣れで、技術的には可能であっても、初めての体験であるため、普段の力が十分に発揮できるか不安をもっているとしている。

 事前の相談なく高校をオンライン面接の会場に指定してくる大学も多いが、高校を会場とするには、大学が求めるオンライン受験のICT環境を整えるのが困難、セキュリティ上の問題やトラブルがあった際の責任の所在が不明確など、さまざまな問題があるという。

 オンライン面接の具体的な問題として、「大学によっては、試験本番の最中に通信の中断などがあった場合に、異議を申し立てないという同意書を提出させているところがある」「都道府県のセキュリティの規定により、サイトにアクセスできない学校がある」「事前に配布されたパスワードが間違っており、試験当日にWeb面接にアクセスできなかった事例がある。大学は対応してくれたが、試験時間が大幅に遅れた」などの報告事例もあげている。

 要望書では、「令和3年度大学入学者選抜実施要項」の「ICTの活用にあたっては、入学志願者による利用環境の差異や技術的な不具合の発生等によって、特定の入学志願者が不利益を被ることのないよう、代替措置などの配慮を行うこととする」という記述を引用。不具合が生じた場合は、適切な代替措置をとることを徹底して指導し、オンライン環境の不具合によって生徒が不利益を被ることがないよう要望している。

 オンライン面接以外にも、コロナ禍への対応による入試要項の発表の遅れ、感染への不安、2021年4月開設を申請している大学・学科の審査の遅れなども記載しており、今回の調査結果を2022年度以降の大学入学者選抜の制度設計にも生かしてほしいとしている。
《奥山直美》

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