国際パラリンピック委員会(IPC)公認教材「I'mPOSSIBLE」日本版に、アニメーション教材の第3弾が加わった。小学生版および中学生・高校生版に共通するテーマは「パラリンピックってなんだろう?」。子供たちがパラリンピックの理念や共生社会のあり方について主体的に考える構成となっており、日本版公式サイトから無料で利用できる。
「I'mPOSSIBLE(アイムポッシブル)」は、IPCが開発した教育プログラムで、約40か国で活用されている。世界中の子供たちがパラスポーツを題材に、パラリンピックの価値やインクルーシブな世界づくりに必要な理念を理解できるよう制作されている。
「I'mPOSSIBLE」日本版は、IPCが制作した国際版教材をもとに、日本の教育現場での活用のしやすさを考慮して開発された。誰も取り残さず、さまざまな違いのある人たちと一緒に活動するための考え方のヒントや、公平について考えさせる話題、人権感覚を育むきっかけなども含まれている。総合的な学習の時間、体育(体育理論)、道徳(公正・公平)、家庭科(バリアフリー)のほか、人権教育などでも活用されている。
累計ダウンロード数は、2026年5月末時点で21万件を達成。初版教材は日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)と日本財団パラスポーツサポートセンターが、ベネッセこども基金の協力のもと共同で開発し、現在はJPCが開発・普及を担っている。
教材名「I'mPOSSIBLE」は、「Impossible(不可能)」という単語にアポストロフィを加えた造語で、「I'm possible(私はできる)」という意味をもつ。ほんの少し考え方や工夫をすることで、それまで無理だと思っていたことも異なる結果に導けるというメッセージが込められている。
新たに追加されたアニメーション教材第3弾では、小学生版、中学生・高校生版ともに、導入からまとめまでアニメーション映像が授業を進行する。パラリンピックの理念や競技の工夫をもとに、「みんなで参加できる方法」や「誰もが参加の機会を奪われない社会」について考えを深める構成だ。
おもな特徴は、アニメーションの進行の中で子供たちの多様な答えを引き出す構成、ICT対応の操作性で主体的な学びを促す設計、指導案・ワークシートなど完備による教員の授業準備の負担軽減、総合的な学習(探究)の時間・道徳・学級活動など幅広い活用シーン、違いを尊重し「共に参加する方法」を考え日常生活における行動変容へつながる学び。
小学生版では、パラリンピック競技の映像を手がかりに、1人でも多くの人が参加できるように工夫された用具やルールに着目し、「みんなが一緒に参加できるか」という視点で学習を展開する。ボッチャやブラインドフットボールを題材にしたグループワークでは、提示されたヒントをもとに児童同士が意見を出しあいながら考察を深める。
さらに、身近な学校生活の例として「そうじの時間」を取り上げ、異なる特性のある友達と共に活動するための工夫について考える。「協力する」「やり方を変える」「決めつけず本人に聞く」といった観点を通して、当たり前を見直し、共に参加できる方法を主体的に探る力を育てる構成となっている。
+アルファ映像には、東京2020パラリンピック競技大会(東京大会)で金メダルを獲得した水泳の山口尚秀選手(SB14クラス)や、パリ2024パラリンピック競技大会(パリ大会)で金メダルを獲得した柔道の瀬戸勇次郎選手(73kg級J2クラス)らが登場する。
中学生・高校生版では、パラリンピックの歴史や価値への理解を基盤に、「誰もが参加する機会を奪われない社会」のあり方について考える。競技における用具やルールの工夫を通じて参加を可能にする視点を学ぶとともに、バリアフリー化が進む町を題材に、誰もが利用しやすい環境づくりについて検討する。
設備面の整備にとどまらず、実際に利用する人とコミュニケーションをとりながらよりよい状況をつくるために取り組んで改善を重ねていくことや、その場にいるひとりひとりの行動の重要性にも目を向ける。多様な他者に共感する力を前提としたインクルーシブな社会の実現に向けて、自分たちにできることを主体的に考える構成となっている。
+アルファ映像には、パラリンピックに関わるさまざまな立場の人々が登場する。競技者として挑戦を続けるアスリート、技術で支えるエンジニア、その姿を社会に伝える表現者それぞれの視点から、インクルーシブな社会をつくるために大切なことを語るインタビューを収録している。
「I’mPOSSIBLE」は、日本版公式サイトから無料で利用できる。














