日本考古学協会、日本人類学会、日本旧石器学会は2026年5月29日、文部科学省および中央教育審議会に対し、「小学校学習指導要領(社会科)の改訂に対する要望書」を提出した。小学校社会科の歴史学習に「人類の出現から旧石器時代」に関する内容を明確に盛り込むことなどを求めている。
要望書では、人類史の始まりや旧石器時代に関する記載が現在の小学校の歴史教科書に盛り込まれていないことを指摘し、学習指導要領の小学校社会科に明確に位置付けるよう求めた。人類の出現から旧石器時代に至る歴史を学ぶことで、人類共通の歩みや環境への適応、技術の発展などを理解できるとし、小学校段階から体系的に学ぶ意義を訴えている。3学会は2025年にも「人類の出現から旧石器時代」に関する歴史学習の必修化を求める声明を公表しており、今回の要望では学習指導要領および解説の具体的な修正案も提示した。
加えて、日本列島全域に存在する旧石器時代の遺跡は、文字による記録が残されていない時代の人々の暮らしや、各地域の多様な歴史・文化を学ぶうえで重要な資料だと指摘。地域に残る遺跡や遺物を活用した体験的な学習は、子供たちの知的好奇心を刺激し、歴史への理解を深めるとともに、先人への敬意や生命の尊厳を学ぶ機会にもなるとして、その教育的意義を強く訴えた。
こうした要望について、松本洋平文部科学大臣は6月16日の記者会見で言及した。会見では、日本考古学協会などから提出された要望書を受け取ったことを明らかにしたうえで、小学校社会科は「人物の働きなどを通して歴史の大まかな流れを学ぶ構成」であるとし、旧石器時代については中学高校で取り扱い、初等中等教育全体で学ぶこととしていると述べた。
現在進められている次期学習指導要領の検討については、中央教育審議会で今後本格的な議論が進む見通しであり、文科相が会見で見解を述べることはなかったが、小学校社会科における歴史学習のあり方が今後どのような議論となるか注目される。








