スポーツ庁は2025年12月22日、2025年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)」の結果を公表した。反復横跳びや50メートル走など8種目の結果を点数化した体力合計点は、小中学生ともに向上。中学生男子は新型コロナウイルス流行前の水準に戻った。
全国体力テストは、全国的な子供の体力の状況を把握し、学校における指導に役立てるため、2008年度から実施している調査。2025年度は4~7月にかけて、全国の国公私立の小学5年生(92万4,976人)と中学2年生(86万7,926人)を対象に実施した。
反復横跳びや50メートル走など8種目の結果を点数化した体力合計点(80点満点)は、小学生が男子53.0点(前年度比0.5ポイント増)・女子54.0点(同0.1ポイント増)。中学生が男子42.1点(同0.4ポイント増)・女子47.5点(同0.3ポイント増)と全区分でスコアが向上した。特に中学生男子は、過去最高値となる2018年度の42.2点に迫り、新型コロナウイルス流行前の水準に戻った。
実技テストを項目別でみると、中学生男子の長座体前屈(44.98cm)と立ち幅とび(197.50cm)、中学生女子の長座体前屈(46.97cm)は、過去最高値を更新した。一方、握力は中学生男子を除き、過去最低水準となった。特に女子では、複数の項目で記録低下がみられた。小学生女子は50メートル走と立ち幅とび、ソフトボール投げ、中学生女子は持久走、シャトルラン、50メートル走で、過去最低の記録となっており、一部の項目では回復が遅れている状況が明らかになった。
運動意欲については、運動やスポーツをすることは「好き」「やや好き」と回答した割合が、小学生女子を除き増加。体力合計点が高い児童生徒ほど「運動やスポーツが好き」と回答する割合が高く、1週間の総運動時間が長い傾向にあった。
生活習慣の調査では、全区分で睡眠時間「8時間以上」の割合が増加。一方で課題も浮き彫りになった。朝食については、毎日食べる割合は増加したが、小学生の男女と中学生男子では5人に1人、中学生女子では4人に1人が朝食を欠食している。またスクリーンタイム「3時間以上」の割合は小学生で減少したが、中学生は増加した。
新たに設けた項目「運動やスポーツへの関わり方」では、「する」「みる」ことへの関心は高かった一方で、「支える」役割への関心は低いことがわかった。このほか、運動が苦手な児童生徒への対応や、障害のある児童生徒への指導の工夫、さらに中学校では男女共習における配慮についても調査を実施。苦手な児童生徒にはコツやポイントを重点的に教える、障害のある児童生徒にはルールを工夫する、男女共習ではペアやグループ編成に配慮するなど、現場で多様な工夫が行われている実態が明らかになった。














