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GIGA端末の更新に向け、適切な処分方法チェックリスト公開

 児童生徒データプライバシー協会は、2025年度以降に全国の小中学校に配備されたGIGAスクール端末が一斉に更新時期を迎えることを受け、全国の自治体に向けて「GIGAスクール端末の処分におけるチェックリスト(全10項目)」を公開した。

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児童生徒データプライバシー協会
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 児童生徒データプライバシー協会は、2025年度以降に全国の小中学校に配備されたGIGAスクール端末が一斉に更新時期を迎えることを受け、全国の自治体に向けて「GIGAスクール端末の処分におけるチェックリスト(全10項目)」を公開した。

 全国の小中学校に配備されたGIGAスクール端末は、2025年度から2027年度にかけて約950万台が一斉に更新時期を迎える。さらに、2025年10月14日のWindows10サポート終了に伴い、全国的にパソコンの更新需要が高まることから、GIGAスクール端末の更新も一層加速する見込みである。

 一方で、同協会の調査では、端末処分時にもっとも安全とされる「ソフトウェアによるデータ消去」を実施している自治体は、わずか12.5%にとどまっていることが明らかになった。多くの自治体では依然として初期化や物理破壊といった処分方法に頼っており、これらはデータが完全に消去されず、復元可能な状態で残ってしまうリスクが存在する。

 実際に、一部の自治体では、GIGAスクール端末から児童生徒の個人情報が漏えいするインシデントも発生している。こうした事故は、自治体にとっては住民の信頼失墜や責任問題にも直結しかねない。こうした状況を踏まえ、同協会は全国的な適切な処分体制の整備を目的に、チェックリストを公開した。

 チェックリストは10項目で構成されており、国が推奨するGIGA端末の処分仕様書に基づいた処分方法の検討、更新時期・台数の把握、小型家電リサイクル法での処分予定の確認などが含まれる。また、教育委員会担当者のセキュリティガイドライン熟知、データ消去に関する十分な検討、GIGA端末の記憶媒体に適したデータ消去方法の検討なども盛り込まれている。

 特に重要な項目として、SSD専用の消去が必要であることを強調している。物理破壊や磁気消去はHDD時代の消去方法であり、現在の端末には適さないとしている。また、GIGA端末毎にデータ消去証明書の発行、委託事業者のデータ消去に関する専門知識・実績の確認、適正な処分に必要な予算の検討なども含まれている。

 データ消去は1台あたり数時間必要で、極端に安価な提案は必要な作業が省略されている恐れがあると警告している。さらに、情報漏えいなど事故が発生した際の危機管理マニュアルの準備も求めている。

 同協会は2025年1月31日に設立された団体で、全国の小中学校に整備されたGIGAスクール端末更新に伴い、適正な端末処分、適正なデータ消去を普及させることにより生徒のデータプライバシーを保護することを目的としている。専門委員として矢作尚久氏、川島英之氏、横尾俊彦氏、尾花紀子氏が就任し、ブランコ・ジャパン、リネットジャパングループが協力している。

 同協会では「GIGAスクール端末廃棄を、もっと安全に」プロジェクトを通じて、GIGA端末が抱えるデータ漏えいリスクを世の中に啓蒙することで、より多くの自治体が認定事業者での端末回収手続きが進められる社会を目指している。全国の小中学生の子供を持つ保護者が安心できる社会を実現できるよう、取組みを進めている。

◆【GIGAスクール端末の処分】チェックリスト
1.国が推奨するGIGA端末の処分仕様書に基づいた処分方法が検討されているか?
2.更新時期・台数は把握しているか?
3.国の方針を理解し、小型家電リサイクル法で処分する予定か?
4.教育委員会の担当者は、セキュリティガイドライン(文科省・総務省・貴自治体)を熟知しているか?
5.教育委員会の担当者は、データ消去に関して十分な検討を行っているか?
6.GIGA端末の記憶媒体に適したデータ消去方法が検討されているか?
7.GIGA端末毎にデータ消去証明書は発行されるか?
8.委託事業者は、データ消去の専門知識・実績を有しているか?
9.適正な処分に必要な予算は、検討されているか?
10.情報漏えいなど事故が発生した際の危機管理マニュアルは準備されているか?

《吹野准》

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