山口県教育委員会は2025年10月6日、「県立高校再編整備計画 後期実施計画(素案)」を公表した。2022年度に策定した「第3期県立高校将来構想」に基づくもので、従来の5年間から7年間に計画期間を延長。2027~2033年度までを計画期間として、県内14校を再編統合し、新たに7校を設置する方針を示した。
今回の素案は、生徒数の減少や学びの多様化、生成AIなどによるDX化の急速な進行、高校授業料無償化などを背景に、高校教育の質を維持・向上することを目的としてまとめられた。1学年4~8学級を望ましい規模とし、3学級以下の学校は再編統合を基本とする。教育内容の充実や地域バランス、通学距離なども考慮しながら、段階的に再編整備を進めるとしている。
今回示された後期実施計画(素案)によると、全日制課程では、2029年度に下松高校と華陵高校を統合し、普通教育と外国語に関する学科を基盤とする新高校を下松高校の校地に設置。2030年度には豊浦高校と長府高校を統合し、特色ある学校づくりを推進する新高校を設置するほか、萩高校と萩商工高校を統合し、普通教育と文理探究科、商業および工業に関する学科からなる新高校を設置する。
2031年度には新南陽高校と南陽工業高校、宇部工業高校と小野田工業高校をそれぞれ統合し、工業化などを有する新高校を設置。2032年度には岩国総合高校と岩国商業高校を統合した新高校を、2033年度には下関西高校と下関南高校を統合し、文理探究科などを設けた新高校を開設する予定。2033年度までに計7件の再編統合を計画している。あわせて、岩国高校坂上分校、山口農業高校西市分校、萩高校奈古分校については、今後の地元中学校卒業者の入学状況などを勘案したうえで、生徒募集の停止を検討する。
このほか学科改編では、普通教育を主とする新しいタイプの学科「未来デザイン科(仮称)」を美祢青嶺高校、下関北高校、高森高校、防府西高校に2028年度および2029年度に順次設置し、地域連携型の探究学習などを強化する。また、山口中央高校では2030年度に普通科のコースとして、「教職コース」および「デジタル創造科(仮称)」を新設予定。教員志望者の育成や情報教育の高度化を図る。
2022~2026年度にかけて行われる前期実施計画では、14校を対象に再編統合などが行われ、2022年度に山口松風館高校(定時制・通信制)が、2025年度に厚狭明進高校(全日制)が新設された。2026年度には、柳井高校、柳井商工高校、熊毛南高校、田布施農工高校、熊毛北高校の5校を再編統合し、新たに柳井高校と田布施農工高校の2校となる予定。県は、後期計画においても引き続き教育資源の最適化を進める考えを示している。
なお、山口県教育委員会は、後期実施計画の素案に関する理解を深めるため、10月20日から11月21日にかけて県内15会場で地域説明会を開催。11月21日から12月22日まで、県民から意見を募るパブリックコメントを実施する。詳細は山口県のWebサイトで確認できる。