全国の私立大学594校の53.2%にあたる316校で、2025年度入学者が定員に満たない定員割れとなったことが2025年8月8日、日本私立学校振興・共済事業団の調査で明らかになった。過去最多だった前年度59.2%からは、やや改善がみられた。
「私立大学・短期大学等 入学志願動向」は、日本私立学校振興・共済事業団が2025年度に実施した「学校法人基礎調査」から、入学定員、志願者数および入学者数等を集計し、入学定員充足率や志願倍率等の動向を規模別、地域別、学部系統別にまとめたもの。調査基準日は5月1日。2025年度の集計学校数は、大学594校、短期大学249校、大学院492校。
このうち大学は、前年度比で集計学校数が4校減、入学定員が1,114人減の50万2,755人。志願者数、受験者数、入学者数は、前年度から増加した。入学定員充足率は3.42ポイント上昇して、101.61%。定員割れ(入学定員充足率が100%未満)の大学は38校減少して316校となり、大学全体に占める未充足校の割合は、前年度比6.0ポイント減の53.2%となった。
規模別・地域別・学部系統別のいずれでみても、入学定員充足率が上昇。規模別では1,000人以上の規模の大学、地域別では「関東(埼玉、千葉、東京、神奈川を除く)」「東京」「神奈川」「愛知」「京都」「大阪」「九州(福岡を除く)」「福岡」の8地域、学部系統別では「医学」「理・工学系」「農学系」「人文科学系」「社会科学系」「体育学」「芸術系」「その他」で、入学定員充足率が100%を超えた。
今回の調査結果は、定員の縮小に加え、18歳人口が2025年度に一時的に増加したことも背景にあるとみられる。2か年とも入学定員未充足で2025年度の区分はさらに下降したという大学は63校(17.9%)あり、決して少なくはない。特に地方や小規模の私立大学では定員割れが続き、厳しい経営状況が浮き彫りとなった。18歳人口は2027年度以降、再び減少に転じる見込みで、日本私立学校振興・共済事業団は、時代と社会のニーズに対応する学生募集の取組みにさらなる工夫・努力が必要となると分析している。
なお、志願倍率は過去5年、7倍台で推移しており、2025年度は前年度比0.52ポイント増の7.87倍に上昇。志願者数は、前年度比6.8%増の395万6,823人と、大学進学を目指す生徒は増加傾向にある。