国立大学協会は、2040年を見据えた「わが国の将来を担う国立大学の新たな将来像」を発表した。急速な人口減少や産業競争力の低下といった課題に対応し、知の総和を増大させることを目指す。具体的には、地方や女子の大学進学率を向上させ、留学生の受入れを拡大することで、多様な頭脳を日本に導き入れる。また、博士号取得者数を3倍に増加させるため、学部定員を大学院定員に振り替える施策を進める。
国立大学は、教育、研究、社会貢献を基本機能として、知の拠点としての役割を果たしてきた。今回の将来像では、国立大学全体を「国立大学システム」として捉え、社会変革に関わる覚悟と戦略をもって、イノベーティブな日本社会の創造に挑戦することを掲げている。特に、2035年までに大幅な18歳人口の減少が始まることを見据え、教育施策の実現が求められる。
国立大学は、知の総和を増大させるために、地方および女子の大学進学率を一層向上させることを目指し、意思と能力あるすべての者が高等教育を享受できる体制を構築。留学生受け入れの拡大を図り、世界から多様な頭脳を日本に導き入れることも目指していく。また、博士号取得者数を3倍に増加させるため、学部定員を大学院定員に振り替える施策を進める。
さらに、地方大学の大学数を減少させることなく、大学間連携も図りつつ学部および大学院の構成と定員を見直す。地方大学は、地方自治体や地域産業界との連携によって地方創生に主導的役割を果たし、地方における人口流出を抑え込むことに貢献する。
大学病院における研究環境の整備や研究者の処遇については、文部科学省・厚生労働省と協働し適正化を図る。教員養成に関しては、国が「わが国の教育」とは何かを示したうえで、初等中等教育の教員の質の高度化に取り組む。また、研究への潤沢な資金と研究者の確保が必要であり、特に、研究者全体の層を広く厚くすることが重要であるとしている。
国立大学は、統合の可能性も視野に入れたさまざまな連携と再編を通じ、各大学自身とその総体である「国立大学システム」の力を強化・増大させる。また、国公私立大学間のさまざまな形の連携を通じて、わが国の高等教育全体のレベルアップを図り、さらに地方自治体や地域産業界との連携を通じて地方創生を主導していく。
国立大学は、各地域の歴史・地域性などを背景にし、多様な発展を遂げてきた知の拠点であり、その機能のさらなる強化が求められている。各大学は、自らの使命を深く理解し、その本質を見極めたうえで、学部や大学院の在り方を再構築するとともに、教育・研究体制の改革と定員の適正化を進めていくことが求められる。