小中学校・高等学校の教職員84%が「勤務開始前の日常的な業務がある」と回答したことが、School Voice Projectが2024年12月2日に発表した調査結果より明らかになった。「登校開始時刻が勤務開始時刻前に設定されている」ケースが85%にのぼり、事実上の勤務開始時刻が早くなっていることがわかった。
2024年10月4日から10月28日にかけて、全国の小中学校・高等学校の教職員を対象に、勤務開始時刻に関するアンケート調査が実施された。この調査は、School Voice Projectが運営するWebメディア「メガホン」によって行われ、教職員の勤務開始時刻に関する実態を明らかにすることを目的としている。調査には70件の回答が寄せられ、教職員の勤務開始時刻前に行われる業務の実態が浮き彫りとなった。
調査結果によると、全体の84%の教職員が「勤務開始前の日常的な業務がある」と回答した。もっとも多くあげられた業務は「登校指導」で、全体の63%がこれに該当した。また、小学校では53%、中学校では44%が「校内の児童生徒指導・支援」に従事していると回答した。中学校では、部活動や委員会などの「児童生徒の課外活動指導・支援」に時間を割いている教職員が44%にのぼり、他の校種よりも高い割合を示した。
さらに、勤務開始時刻と児童生徒の登校時刻の設定についての質問では、「登校開始時刻が勤務開始時刻前に設定されている」と答えた教職員が合計で85%に達し、勤務開始時間と児童生徒の登校時間が一致しないことが多いことがわかった。地域別では、西日本の教職員が「登校完了時刻が勤務開始時刻前に設定されている」と答える割合が他地域の2倍にのぼった。
このような勤務開始時刻の不一致がもたらす問題について、全体の79%が「事実上の勤務開始時刻が早くなっている」と回答した。特に小学校では86%、中学校では83%がこの問題を指摘している。また、「特定の教職員に負担が集中している」との回答は全体で44%にのぼり、中学校では61%と他の校種よりも高い割合を示した。
具体的な問題としては、「勤務開始時刻よりも早くに登校する児童生徒に対応するため、教職員が早く出勤せざるを得ない」「特定の教職員に業務が集中し、負担が増している」といった声が多く寄せられた。また、児童生徒の登校時間を遅らせることが難しいという意見もあり、保護者の仕事の都合や地域の事情が影響していることがうかがえる。
この調査結果は、教職員の勤務環境の改善に向けた課題を浮き彫りにしている。勤務開始時刻と児童生徒の登校時刻の不一致がもたらす問題に対して、教育現場ではどのような対応が求められるのか、今後の議論が期待される。