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学校施設のアスベスト、劣化・損傷する保温材72機関が保有…文科省

 文部科学省は2024年9月6日、学校施設等における石綿含有保温材等の使用状況について調査結果を取りまとめ公表した。石綿の含有有無にかかわらず、劣化や損傷等がある保温材等を保有する機関は72機関で、5年前のおよそ3分の1へ減少した。

教育行政 文部科学省
室内等に露出した保温材等の使用状況
  • 室内等に露出した保温材等の使用状況
  • 石綿含有断熱材使用煙突状況

 文部科学省は2024年9月6日、学校施設等における石綿含有保温材等の使用状況について調査結果を取りまとめ公表した。石綿の含有有無にかかわらず、劣化や損傷等がある保温材等を保有する機関は72機関で、5年前のおよそ3分の1へ減少した。

 建材などに広く使用されてきた石綿(アスベスト)は、肺がんや中皮腫などの原因となり、建築物の解体・改修・リフォームなどの工事で石綿を吸い込んだり、大気中に石綿が飛散する恐れがあり、健康障害を防ぐため、適切な石綿対策を行うことが必要不可欠となっている。

 文部科学省では、児童生徒等の安全対策に万全を期すため特定調査「学校施設等における石綿含有保温材等の使用状況調査」を実施。学校施設等において特に飛散の危険性が高い室内等に露出して設置されている保温材や耐火被覆材および煙突用断熱材の使用状況を定期的に調査している。対象は、国公私立学校(幼保連携型認定こども園は対象外)、公立の社会教育施設・社会体育施設・文化施設・学校関係施設のほか、所管の法人など10万2,670機関(うち、調査未完了は288機関)。調査時期は2023年10月1日時点。

 露出した保温材等を保有する機関は、11万9,471機関。うち、石綿の含有の有無にかかわらず、劣化・損傷などがある保温材等を保有する機関は72機関で、前回2018年度(平成30年度)210機関のおよそ3分の1へと減少した。また、石綿を含有する煙突用断熱材は4,598機関が保有し、うち120機関で劣化・損傷などがみられた。

 機関種別でみると、公立学校は保温材等の劣化や損傷などの保有は0件。最多は公立社会教育施設で22件、ついで私立学校20件、国立学校11件と続いた。一方、煙突用断熱材の劣化・損傷は、公立学校がもっとも多く40件、ついで公立社会教育施設35件、私立学校34件などが保有していた。

 最新の状況把握を目的に、2024年7月1日に実施した追加調査では、「飛散防止措置を実施済み」の機関が、保温材等で42機関・煙突用断熱材で23機関。「飛散・ばく露防止対策を講じていないが、早急に対策を実施予定」とする機関が、保温材等のみ6機関あった。

 このほか、保温材等の保有機関では、「保温材等を分析し石綿を含有していないことが判明」7機関、「定期的に室内の大気中アスベスト濃度を測定し安全を確認」5機関、「保温材等がある室に対して施錠や立入り禁止措置を実施」12機関。煙突用断熱材の保有機関では、「煙突の利用を停止済み」28機関、「定期的に室内の大気中アスベスト濃度を測定し安全を確認」21機関、「煙突が施設利用者が通常立ち入らない場所にある(職員等の入室の際にばく露防止措置を実施)」48機関で確認できた。

 文部科学省では調査未完了の288機関へ調査の早期完了を徹底していくとともに、引き続き、国公私立小中学校等の対策工事のための補助を実施する。調査結果の詳細は、同省Webサイトで公表している。

《川端珠紀》

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