学校法人立命館は2024年5月27日、多様な人材と協働して課題解決や価値創造を推進する総合性を高める取組みとして、「学内副業」制度を試行的に実施していることを公表した。現所属部課に在籍のまま異動や兼務発令をせずに、業務時間の2割以内、他部門の業務に従事するという。
立命館では、大学職員の業務が急激に多様化、複雑化、高度化していく中、さまざまな人事政策を進めてきた。現在は、2030年に向けた学園の中長期ビジョンを遂行するため、全学での議論を踏まえ、職員の専門性と総合性をあわせもつ、縦棒を専門性、横棒を総合性とした「T型人材」の育成を推進している。
業務が多様化、高度化することにより、大学職員は業務に必要な専門性を高めていくことが求められている。また、単に専門性を高め業務遂行力を引き上げるだけでなく、課題解決や価値創造を行うには、多様な人材と協働し、多様な知を組みあわせる力も必要となる。
大学職員は「事務を執る」というイメージが強いが、複雑化する社会の中で新たな価値を創造するプロフェッショナルな大学職員に転換する必要性が叫ばれている。そのような社会情勢のもと、各々の業務基盤をもちながら、多様な人材と協働して課題解決や価値創造を推進する総合性を高める取組みとして、2024年1月より「学内副業」制度を試行的にスタートさせた。
「自らの適性を発見しキャリアプランを検討する」「新たな業務分野への展開を構想する」など、大学職員は人事異動ではない形でさまざまな業務を経験することが可能となり、キャリア形成のうえでも有意義なものになるという。また、組織では多様な経験をもつ人材の協働による新しい価値の創出に期待。従来であれば、個々の能力は自己申告や上司による評価で判断されてきたが、学内副業制度により新しい形での人材発掘にも期待しているという。
具体的には、いくつかの部門から集約されたミッションを遂行する人材を学園内で募集。学内副業では、現所属部課に在籍のまま、異動や兼務発令をせずに他部門の業務に従事する。従事する時間は業務時間の2割以内。対象は、管理職以外の専任職員。期間は3か月以上1年以内として、あらかじめ設定する。
今回の試行的な取組みは、民間企業の先行事例を参考にして実施。今後、試行により実践的に状況や課題を明確化し、大学オリジナル制度として必要な見直しを行っていくとしている。