文部科学省は2024年3月22日、障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)を公表した。大学等で適切な修学支援を行うために必要な事項について、これまでの検討結果を取りまとめている。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律「障害者差別解消法」が改正・公布され、2024年4月より施行される。これにより、大学・短期大学・高等専門学校では、従来禁止されていた障害者に対する不当な差別的取扱いに加え、合理的配慮の提供もすべての大学等において法的に義務付けられることとなった。
文部科学省では2023年5月より障害のある学生の修学支援に関する検討会を設置し、これまで計10回にわたり議論。各大学等の取組みを通じて浮かび上がってきた課題を整理するとともに、共有すべき基本的な考え方と具体的な対応について検討。今回、大学等の現場において適切な修学支援を行うために必要な事項について検討結果を取りまとめた。
「第三次まとめ」では、障害学生支援に関する基本的な考え方、諸課題への考え方と具体的な対処の取組み、大学等連携プラットフォームの枠組みのさらなる活用などについて、1~7章に分けて掲載。別紙「障害のある学生の修学支援に関する基礎データ集」「障害のある学生の支援に関する特色ある取組事例集」および参考資料と共にPDFファイル1冊にまとめている。
たとえば、「オンライン学修における合理的配慮」の欄では、授業ごとの特色を踏まえて、対面とオンライン学修を組み合わせたブレンディッド型授業もあると提案。障害のある学生の個別の状況と当該授業の個別の状況を総合的に考慮して、オンライン参加の可否を個別に判断しなければならない点に留意し、大学等の事情ではなく、本人の意向の尊重や教育の質の担保の観点を踏まえて実施する必要があるとしている。
まとめ最後には「大学等はすべての学生に対し、等しく教育を行う責任を負っていることから、障害のある学生が障害を理由に修学を断念することがないよう、体制や環境を整えていくことが必要である」と強調。各大学等において「役員や管理職を含めたすべての教職員がこのことを認識し、障害学生支援の取組みを一層推進していくことを期待する」と締めくくっている。
PDFファイル「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)」は文部科学省のWebサイトからダウンロードして閲覧できる。