国会で審議中の「国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求め、大学教員らでつくる「『稼げる大学』法の廃止を求める大学横断ネットワーク」は2023年12月1日、約4万3,000人分の署名を文部科学省に提出した。法案廃止とともに、国の大学政策の根本的な転換を求めている。
国立大学法人法の一部を改正する法律案は、事業規模が特に大きい国立大学法人に運営方針会議の設置などを義務付けるもの。文部科学省が提出し、現在国会で審議が進められているが、国立大学協会も11月24日に永田恭介会長名で強い危惧を示す声明を発表するなど、反発の声があがっている。
「『稼げる大学』法の廃止を求める大学横断ネットワーク」は、国際卓越研究大学法案の廃案を求める大学横断ネットワークから改称したもの。お茶の水女子大学の米田俊彦教授など大学教員ら有志10人が中心となり、10月31日から国立大学法人法の一部を改正する法律案の廃案を求め、オンライン署名サイト「Change.org」で活動を開始。12月1日に文部科学省に約4万3,000人分の署名を提出した。
オンライン署名では、今回の法改正について、学生や教職員と、文部科学大臣の意向に忠実に経営判断を行う運営方針会議委員や学長らを決定的に分離したうえで、学生や教職員の意見を無視や否定できる制度を完成させようとするものだとして「『大学の自治』への死刑宣告にも等しい内容」と非難している。
法律案に対しては、「内容・手続きの両面に関して重大な瑕疵がある。私たちは法案に反対し、徹底審議のうえ、廃案にすることを求める」と強調。廃案とあわせて、国の大学政策を「選択と集中」から「大学で学び研究する権利の保障」へ抜本的に転換することも求めている。