日本学生支援機構(JASSO)は2023年5月31日、奨学金への誤解を解き、正しい知識を提供するため「奨学金事業への理解を深めていただくために」と題したPDF資料を公開した。報道などを見て関心をもった人に向けたデータ集となっている。
JASSOの奨学金について、さまざまな報道がある中、一部報道では、奨学金事業に対する誤解に基づくものが散見しているという。そこで今回、奨学金事業への理解を深めてもらう一助として、JASSOの奨学金に係るデータ集をPDFファイルで公開した。
データ集は全67ページで、「理念」「事業の規模」「給付奨学金」「貸与奨学金」「奨学金の返還」「セーフティネット」「延滞した方への働きかけ」「その他(誤解されがちなこと、知られていないこと)」の8項目で構成されている。
2017年度から2021年度の5年間に、JASSOが奨学金を給付した学生数はのべ44万人、給付金額は2,900億円にのぼる。2021年度は、修学支援新制度により32万人の学生に1,437億円の給付奨学金を支給。貸与奨学金は116万人の学生に8,664億円が貸与された。これは、おおむね3人に1人の学生がJASSOの奨学金を利用していることになる。
2021年度末時点の奨学金の延滞額は755億円。ただし、3か月以上の延滞者は2009年度末21万1,000人から大きく減少し、2021年度末には12万8,000人となっている。「返還金=次世代の奨学金」であることから、返還できる場合はしっかり返還、返還が困難場合は「返還期限猶予制度」や「減額返還制度」を活用し、確実に返還する必要があるとしている。
また、JASSOでは給付奨学金の開始・拡充や、貸与奨学金をさらに返還しやすくする「所得連動返還方式」の導入など制度を改善。大学院の第一種奨学金「特に優れた業績による返還免除制度」では、2021年度に7,197人・91億円の奨学金返還を免除している。
誤解されがちな個人信用情報機関については、クレジットカード作成時などに登録する機関と同様だとしている。一般的には始めから、個人情報を登録するが、JASSOでは事前に注意喚起と警告を通知したうえで、延滞3か月以上にならなければ登録はしていない。また、個人信用情報機関に登録されている借用情報を入手し、奨学金採用時の与信判断に利用することはないとしている。
データ集「奨学金事業への理解を深めていただくために」は、JASSOのWebサイトで閲覧できる。