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5類移行後、学校教育活動を精選して積極実施へ…文科省

 文部科学省は2023年4月28日、5類移行後の学校教育活動のあり方について、全国の学校設置者に事務連絡を出した。これまで制限されてきた教育活動のうち、真に必要なものを積極的に実施するとともに、多様な教育実践の工夫を生かし、さらに進化を図っていくよう求めている。

教育行政 文部科学省
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 文部科学省は2023年4月28日、5類感染症への移行後の学校教育活動のあり方について、全国の学校設置者に事務連絡を出した。これまで制限されてきた教育活動のうち、真に必要なものを積極的に実施するとともに、GIGAスクール構想のもとで生み出されてきた多様な教育実践の工夫を生かし、さらに進化を図っていくよう求めている。

 新型コロナウイルス感染症は5月8日をもって、「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」上の5類感染症に移行。これにともない文部科学省は、学校保健安全法施行規則を改正し、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を改定した。

 4月28日付で各都道府県・指定都市教育委員会等に発出した事務連絡では、2021年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)経年変化分析調査の結果からは、児童生徒の学力に低下の状況はみられなかったが、感染対策上の必要性から、児童生徒同士の触れあいを基盤とした集団的な活動や体験的な活動等が制限されてきたと指摘。不登校の増加や体力低下等、児童生徒の学習や心身にも一定の影響が生じているとの指摘もあるとした。

 そのうえで、今後について「コロナ禍を通じて再認識された学校の役割も踏まえ、これまで制限されてきた教育活動については、その必要性を十分に検討したうえで、積極的に実施していくことが求められる」としている。

 また、コロナ禍ではGIGAスクール構想によって1人1台端末の整備が一気に進む等、デジタル化が大きく進展。デジタル技術の良さを生かした多様な教育活動が生み出されてきており、学校行事等は学校における働き方改革を進める必要性ともあいまって、それまで慣例的に行われていたさまざまな取組みが、真に児童生徒の教育上必要な部分に精選、重点化が進められていると説明した。

 5類感染症への移行後の学校教育活動について、「単にコロナ禍以前の姿に戻るのではなく、これまで制限されてきた学校教育活動のうち真に必要なものを回復させるとともに、GIGAスクール構想のもとで生み出されてきた多様な教育実践の工夫を取り入れることにより、いわば新しい学びのあり方へと進化を図っていくことが重要」との考えを示している。

 今後の教育活動の実現に向けた留意点には、「1人1台端末をはじめとするデジタル技術を一層活用した個別最適な学びと協働的な学びの実現」「児童生徒が多様な他者と交流する豊かな体験活動の充実」の2点をあげた。デジタル技術を活用した個別最適な学びと協働的な学びの実現については、文部科学省が作成した情報発信サイト「StuDX Style」やCBTシステム「MEXCBT」、学習支援コンテンツポータルサイト「子供の学び応援サイト」のコンテンツ等も積極的に活用するよう求めている。

 「児童生徒が多様な他者と交流する豊かな体験活動の充実」のうち、学校内の授業や学校行事等については、活動の再開が考えられる例として「多様な集団編成による学習」「全校一斉参加をともなう学校行事」「休み時間や給食等における児童生徒の交流」をあげている。

 さらに取組みを進めるにあたっては、感染拡大防止のため、児童生徒の健康観察、換気の確保、手指衛生等の日常的な対応を継続して実施することが有効と説明。基礎疾患を有する児童生徒への十分な配慮、児童生徒が感染の有無やマスク着用の有無によって差別・偏見・いじめ・誹謗中傷等の対象にならないよう十分な配慮・注意が必要であることをあらためて示している。

《奥山直美》

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