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1人1台端末、週1回以上の持ち帰り学習は半数以下…文科省調査

 GIGAスクール構想下で配備された1人1台端末について、平常時に週1回以上持ち帰り学習に利用している割合は、全国の公立小学校で48.4%、中学校で46.3%と半数以下にとどまることが、文部科学省が実施した端末の利活用の状況等に関する調査から明らかになった。

教育行政 文部科学省
端末の利活用に関する方針や計画を定めている自治体の割合
  • 端末の利活用に関する方針や計画を定めている自治体の割合
  • 端末の持ち帰りに関する方針や計画を定めている自治体の割合
  • 健康面への配慮を図るための方針やルール等を定めている自治体の割合
  • 端末の利活用推進のための一元的な担当部署を設置している自治体の割合
  • 教育委員会において学校デジタル化や端末利活用推進を担当している職員の数
  • 感染拡大等の非常時に端末の持ち帰りを準備している学校の割合(全国)
  • 非常時に端末の持ち帰りを準備している学校の割合(小学校・都道府県別 ※政令市を除く)
  • 非常時に端末の持ち帰りを準備している学校の割合(中学校・都道府県別 ※政令市を除く)

 GIGAスクール構想下で配備された1人1台端末について、平常時に週1回以上持ち帰り学習に利用している割合は、全国の公立小学校で48.4%、中学校で46.3%と半数以下にとどまることが、文部科学省が実施した端末の利活用の状況等に関する調査から明らかになった。文科省では、調査結果を踏まえ、利活用等が進んでいない教育委員会について重点的に改善を進めるよう要請した。

 文部科学省は、2022年8月時点の全国の公立小・中学校等における1人1台端末の整備および管理運営、持ち帰り、学校での利活用状況等(以下、端末の利活用の状況等)に関する調査を実施。結果を取りまとめて公表した。

 多くの教育委員会や学校においては、端末の利活用等に積極的に取り組んでいる実態がみられたが、項目ごとに見ると、一部の教育委員会や学校においては大きな課題が見られる状況も明らかになった。文科省では、調査結果を踏まえ、端末の利活用に関する方針に則していない教育委員会や学校において重点的な改善を進めてほしいとして対応を要請する通知を発出。あわせて、調査結果の全文を公開した。

 調査結果は大きく分けて、「端末・ソフトウェア等の整備・導入に関する状況」「端末の運用に関する状況」「端末の持ち帰りに関する状況」「1人1台端末の学校での活用状況」「校長の成果・課題認識(端末の利活用頻度別)」の5つのカテゴリーにまとめられている。カテゴリーごとにさらに細分化した項目が設けられており、さまざまな視点から細かく調査が行われた。

 今回はその中から「端末の運用に関する状況」と「端末の持ち帰りに関する状況」について結果概要を紹介する。

 端末の利活用に関する方針や計画を策定し所管の学校に示している自治体の割合は79.6%。9.3%は「今年度(2022年度)中に策定予定」、11.1%は「今年度中に策定予定はない」と回答した。端末の持ち帰りに関する方針や計画については、「策定済み」72.5%、「今年度中の策定予定はない」15.0%。健康面への配慮を図るための方針やルールについては、「策定済み」73.7%、「今年度中に策定予定はない」16.4%となり、特に、今年度中に策定予定のない自治体については早急な対応を求めている。

 端末の利活用推進のための一元的な担当部署を設置している自治体の割合は40.0%、高校のデジタル化や端末利活用推進について一元的な担当部署を設置している市町村の割合は19.5%にとどまり、半数以上が司令塔機能や総合調整を担う部署を設置していない状況が明らかとなった。

 教育委員会で学校デジタル化や端末利活用推進を担当している職員の数は、行政職の職員数は「0人」48.1%、「1人」30.8%、「2人」11.6%で全国平均は0.96人。教員出身の職員数は「0人」59.0%、「1人」27.2%、「2人」7.7%で全国平均0.73人。学校のデジタル化やICTの利活用の推進を専任で担当している職員(常勤)数は1人に満たない教育委員会が半数近くある。

 端末の持ち帰りに関しては、感染拡大等、非常時の端末持ち帰り学習を準備している割合は小学校で95.5%、中学校で94.6%とおおよそ準備が進んでいる。都道府県別でみると、小・中学校ともに15府県で100%準備が完了。もっとも準備が進んでいないのは、小学校は岩手県63.5%、中学校は青森県64.6%だった。一方、政令指定都市では、小・中学校ともに仙台市と堺市でわずかに準備していない学校があるものの、その他すべて100%準備が完了している。

 非常時の端末の持ち帰り学習として準備している具体的内容としては、小・中学校ともに「同時双方向型のウェブ会議システムの活用」がもっとも多く約87%、ついで「学習者用デジタル教科書やデジタル教材、学校作成教材等の活用」約82%前後、「児童生徒が自由に閲覧可能なインターネット上の学習動画等の活用」約68%前後と続いた。

 平常時の端末の持ち帰り学習の実施状況については、小学校では「ほぼ毎日」26.1%、「週1回以上」は計48.4%、中学校では「ほぼ毎日」31.3%、「週1回以上」は計46.3%。小・中学校ともに週1回以上持ち帰り学習をしている割合は半数以下となった。準備中を含め、まだ持ち帰り学習を実施していない割合は、小学校24.5%、中学校28.0%。およそ1%程度、持ち帰りを禁止している学校もあった。

 持ち帰り学習をほぼ毎日行なっていると回答した割合が多かった都道府県は、小学校が東京都69.1%、岐阜県54.6%、広島県53.2%。中学校は東京都65.2%、岐阜県61.7%、奈良県61.4%。持ち帰り学習の目的としては、「学級閉鎖や休校への対応」がもっとも多く約72%前後、ついで「宿題の効率的な実施」「予習・復習等に自発的に取り組む学習」と続いた。

 その他の調査結果を含め、調査全文は文部科学省Webサイトから見ることができる。

《畑山望》

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