文部科学省は2023年3月、「大学等におけるリカレント教育の持続可能な運営モデルの開発・実施に向けたガイドライン」をWebサイトに公表した。大学等でリカレント教育を推進するための具体的なポイントをまとめている他、各大学の取組みをまとめた事例集も公開している。
文部科学省では、「大学等におけるリカレント講座の持続可能な運営モデル構築事業」の一環として、大学等や企業、社会人受講者等へのアンケートやヒアリングといった調査と、調査結果をもとにした実証研究等を行い、大学等でリカレント教育を推進するためのガイドラインを策定。リカレント教育の開発・運営に関わる大学関係者に向けて公表した。
リカレント(recurrent)は「循環」や「再発」を意味し、「リカレント教育」とは、社会人になった後も必要なタイミングで教育機関や社会人向け講座に戻り、学び直すことを指す。「リスキリング」や「職業訓練(アップスキリング)」といった社会人を対象とした教育用語も混同されやすく留意が必要だが、今回のガイドラインでは、リカレント教育を「社会変化への対応や自己実現を図るための社会人の学び直し全般」とし、要素としてリスキリングやアップスキリング等を内包するものとしてとらえている。
ガイドラインは、簡易版と詳細版の2種類を公開。大学等によるリカレント教育の開発や継続的な実施に向けて、リカレント教育推進の背景や、大学がリカレント教育に取り組む意義、持続可能な運営モデルの構築に向けたポイントを章立てて解説している。開発・運用に係る一連のプロセスにおける課題や取組方針を整理するとともに、青山学院大学、東北大学といった先進的にリカレント教育に取り組む26大学の事例も掲載している。
また、ガイドラインとあわせて活用できるよう、参考資料として「大学等におけるリカレント教育取組事例集」も公開。リカレントプログラムの詳細や特徴的な取組み、受講生の声まで、18大学のより詳しい事例を紹介。大学等×企業・自治体等の連携事例として6ケースも紹介している。
文部科学省は、大学等が今後リカレント教育に取り組む場合や講座運営の改善を検討している場合等の参考として、積極的に活用してほしいとしている。