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スクールロイヤーへの相談体制構築を…手引き・調査結果公表

 文部科学省は2023年2月22日、教育行政に係る法務相談体制の充実についてWebサイトに掲載した。虐待やいじめ、学校事故等について初期対応から弁護士等(スクールロイヤー)へ相談できるよう、法務相談体制の構築・充実に役立てられる手引きや調査結果等を公表している。

教育行政 文部科学省

 文部科学省は2023年2月22日、教育行政に係る法務相談体制の充実についてWebサイトに掲載した。虐待やいじめ、学校事故等について初期対応から弁護士等(スクールロイヤー)へ相談できるよう、法務相談体制の構築・充実に役立てられる手引きや調査結果等を公表している。

 虐待やいじめ、学校や教育委員会への過剰な要求や学校事故への対応等、教育現場において法務の専門家への相談を必要とする機会は増加している。特に、学校現場では事案が訴訟等に発展してしまう前に、初期対応の段階から予防的に弁護士等(スクールロイヤー)に関わってもらうことで、速やかな問題解決や教職員の負担軽減が期待される。2020年度(令和2年度)からは、都道府県および指定都市教育委員会における弁護士等への法務相談経費について、普通交付税措置が講じられている。

 一方で、弁護士等と教育委員会の連携についてまだまだ事例が蓄積されていない状況を踏まえ、文部科学省は2022年3月に「教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引き(第2版)」を作成。各教育委員会において法務相談体制を構築するうえでの留意点や、具体的な弁護士への相談事例等をまとめている。

 手引きでは、弁護士に依頼できる業務内容として、「助言・アドバイザー業務」「代理・保護者との面談への同席等」「研修」「出張授業」の4つをあげ、学校現場のどのような場面・課題で弁護士と連携できるのかを解説。また、4つの業務内容それぞれの詳細や具体的な内容についてまとめた「事例集」を別紙として掲載し、計23例を通して、法務相談等を行った事例を紹介している。

 2021年6月に実施した「教育行政に係る法務相談体制の整備等に関する調査(令和3年度)」では、教育委員会事務局として「法務の専門家」に相談できる体制は、都道府県・指定都市で100%、市区町村で93.5%であるのに対し、「専ら教育行政に関与する弁護士」に相談できる体制は、都道府県約78.7%、指定都市75%、市区町村10%という結果に。

 今後、自治体の顧問弁護士とは別に専ら教育行政に関与する弁護士に相談できる体制を新たに構築することを検討しているかとの問いには、都道府県80%、指定都市40%、市区町村94.6%が「検討していない」と回答し、理由としては「自治体の法務全般に関与する顧問弁護士で十分対応できているため」「予算の確保が難しいため」等の意見が多かった。

 教育行政に係る法務相談体制の充実についてまとめたページでは、学校・教育委員会と弁護士とで相互理解を深めるワークショップ型研修についても紹介。学校・教育委員会と弁護士がお互いの専門性を学びつつ相互理解を深めることができるよう、事例をもとに意見交換を行うワークショップ型の研修を推奨しており、実施の際に参考となる資料やワークシート、研修の具体的な流れ等を紹介した解説動画も掲載している。

《畑山望》

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