学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第118回のテーマは「学校に不要なもの(チョコ等)を持って行かないように指導してほしい」。
バレンタインデーを控えた時期は学校がなんとなくそわそわした感じになります。そういった状況において問題となるのが「学校にチョコを持って来て良いのか?」ということです。親から「学校に不要なもの(チョコ等)を持って行かないように指導してほしい」という連絡をもらうこともあります。
「チョコを持って来て良いか?」に関して、私は「どちらでも良い」と考えています。これはそれぞれの学校で話し合って決めれば良いことだと思います。学校のルールに従って、持って来ないようにしっかりと指導するやり方でも、そういったことについてはあまり細かいことは言わず子供の自主性に任すやり方でも良いと思います。そういったことと関連して、考えたいものが「ルールがあるのに守られていない状況」と「教師による対応の違い」の2つです。
学校のルールを守る
まずは「ルールがあるのに守られていない状況」についてです。もし学校に「授業に関係のないものは持って来ない」というルールがあるのであれば、それに従うべきでしょう。何らかの理由で、ルールに例外規定を設ける(雨の日は外遊びができないので、トランプを持ってくることは可能とする)のであれば、それを全員に伝える必要があります。
ルールがあるのに守られていない状況を放っておくと、集団が荒れていきます。「ダブルスタンダード」の状態では、教師の言葉に説得力がなくなります。学校という場は「正しいものは正しい、正しくないものは正しくない」ということを強く主張ができる場だと私は考えています。一般社会において、たとえば、企業においては利益を追求することが大切です。そういった中で正しいことだけがすべてではないこともあるでしょう。その点、学校は利益追求の組織ではないので正しいことを求めていくことができます。
教員間で対応を統一する
次に「教師による対応の違い」についてです。どういった形であれ、学校としてのやり方が決まったらそれを全教職員で守っていくということが大切です。ある先生は許してくれるのに、ある先生は許してくれないというような状況は学校(教師)の雰囲気を悪いものにしていきます。もしやり方に関して何らかの意見(不満)があるのであれば、会議で発言したり、上の立場の人に伝えていく等の方法を取るべきです。組織で仕事をする立場として、集団でまとまったことにはきちんと対応をしていきたいです。そういった合意形成に時間を掛けることが大切なのだと思います。これは教師間の合意形成でもそうですし、場合によっては子供も含めた中での合意形成をしていくことが必要でしょう。
教師によって対応等が違うと、いろいろな場面で子供や親が教師に対して不信感を持つようになります。子供の「ずるい」という言葉に学校(教師)は敏感になると良いと思います。そういったことは単に「持ってくるものの対応」だけでなく、学校生活のすべてに影響を与えることとなります。学校(教師)と家庭(保護者)の関係性の影響は、何かトラブルが起こった時に顕著に表れます。小さな出来事であったとしても、関係性が悪い状況では、保護者は学校に対して「クレーム」や「苦情」という厳しい姿勢で臨んできます。もし関係性が良いものであれば、相談、確認等の形で穏やかな関わりとなり、状況の改善へとつながっていきます。
本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
質問をする