教育業界ニュース

大学入学共通テストCBT導入、研究結果を公表

 大学入学共通テストを実施する大学入試センターは、2022年11月9日に「CBT(Computer-based Testing)に関する調査研究」の成果を公表した。

教育行政 その他
大学入試センター
  • 大学入試センター

 大学入学共通テストを実施する大学入試センターは、2022年11月9日に「CBT(Computer-based Testing)に関する調査研究」の成果を公表した。

 大学入試センターは、2021年度より大学入試センター試験に代わり大学入学共通テストを各大学と協力し、共同で実施。同センターは、「大学に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的として大学が共同して実施することとする試験に関し、問題の作成および採点その他一括して処理することが適当な業務を行うこと」の他に、「大学の入学者の選抜方法の改善に関する調査および研究を行うこと」を業務とすることを独立行政法人大学入試センター法(平成11年法律第百六十六号)第13条第1項に定めている。

 平成25年の「教育再生実行会議第四次提言」では、将来的に試験問題データを蓄積しCBT方式で実施することも検討され、平成26年の「中央教育審議会答申」では、CBT方式での共通テスト実施を前提に出題・解答方式の開発や、実施回数の検討等を行うことが提言された。

 また、平成30年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」では、令和7年度からの大学入学共通テストでCBTによる「情報I」(コンピュータの仕組み、プログラミング等)の出題が打ち出された。

 大学入試センターでは平成23年以降、教育工学やテスト理論等の専門家によるCBTに関する調査研究を実施。平成28年度以降は文部科学省の補助事業として、より多様な専門家の協力を得ながら、令和7年試験からのCBTを活用した「情報I」出題について検討してきた。

 その結果、大学入学共通テストをCBTで行うメリットは大きいが、全国的に均質で質の高い受験環境(パソコン、ネットワーク等)の確保やトラブルが生じた場合の対応体制の構築、新しい試験の在り方に対する受験者を含めた社会全体の理解等について、細やかな検討が必要であることから実施は見送られ、令和7年度の試験は紙で実施するPBTにより行うこととされた。

 個別大学におけるCBT導入の検討や、初等中等教育・大学教育における情報教育の充実のため、大学入試センターにおいて行ってきた令和4年度の調査研究と成果は、3つ公表された。

 CBTでの「情報I」の出題に関する調査研究については、「情報I」を出題するためのCBTシステム、項目反応理論(IRT)に基づく試験実施のための試験問題の蓄積・管理システム、将来的な大規模試験実施のための留意点等を整理。

 プログラミング問題、データ活用問題をCBTで実施するプログラムの公開については、CBTの特徴を生かしたプログラミング問題、データ活用(散布図、クロス集計)問題の実施プログラムを、国内外で広く活用されつつあるCBTプラットフォーム「TAO」の拡張機能(PCIモジュール)として提供し、誰でも無償で使用、改変可能なオープンソースで公開するとした。

 個別大学の入学者選抜におけるCBTの活用事例集については、令和3年度の入学者選抜において PCやネットワークを活用した大学の事例を紹介。東京外国語大学、京都工芸繊維大学、九州工業大学、佐賀大学、叡啓大学(公立)、函館大学(私立)、神田外語大学(私立)のそれぞれ異なる目的や内容、方法で実施した事例を掲載した。

 大学入試センターは、これまでの成果を学会等で積極的に周知していくとともに、国内外の最新の動向も踏まえつつ、各大学の入学者選抜に生かしていくため、引き続き調査研究や各機関等との連携・協力に取り組む。各大学の入学者選抜や、さまざまな場面でのCBTによる試験実施により、CBTが安定的な試験方法として根づき、将来的な大規模試験のCBT化に向けた課題の克服に資することも期待される。


大学入試改革対応! ミスマッチをなくす進路指導
¥2,640
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《いろは》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top