関西圏の保育士の約6割に転職経験があり、その理由としてもっとも多かったのは「給料が安かった」であることが、保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する明日香が2022年10月7日に発表した調査結果から明らかとなった。
「関西圏の保育士」に関する実態調査は、関西圏の現役保育士108名を対象に9月12日～13日に、IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」企画によるインターネット調査で実施。情報出典は保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」。
まず、保育士を仕事に選んだ理由を尋ねると、86.1％が「子どもが好きだから」と回答。2位の「自身の保育園時代が良い思い出だったから（担任への憧れ）」（17.6％）を大きく引き離す結果となった。その他、「保育が好きだから（14.8％）」「社会的意義が高いから（13.9％）」等の回答もあった。
次に保育士という職業の地位について、親類や友人等からどう思われているかを尋ねると、「やや地位が低いと見られている（31.5％）」「とても地位が低いと見られている（15.7％）」をあわせると、47.2％が地位が低いとみられていると考えているようだ。
現在勤務している施設の形態は、「認可保育所」40.8％、「認定こども園」30.6％、「幼稚園」8.3％、「認可外保育所（企業主導型保育所服務）」7.4％、「その他社会福祉施設」12.0％。雇用形態は、「正職員」が79.7％でもっとも多く、ついで「派遣職員」が11.1％、アルバイト/パートが5.6％。保育士として就職する際に重視した条件のトップ3は、「給与（56.5％）」「自宅からの距離（48.1％）」「人間関係（42.6％）」であることが明らかとなった。
現在の勤務先を選んだ理由を自由回答してもらったところ、「雇用途中から変化した（認定こども園勤務・54歳）」や「公立だと有給が取りやすく、お給料もいいと思った（認可保育所勤務・25歳）」「休みが多いから。（幼稚園勤務・28歳）等、90回答が寄せられた。
別の保育施設への転職経験がある保育士は、59.3％。そのうち約半数が2回以上の転職経験があることがわかった。直近の転職理由は、「給料が安かった（34.4％）」がもっとも多く、「仕事量が多かった、労働時間が長かった（32.8％）」、「職員との人間関係がよくなかった（23.4％）」、「園長との人間関係がよくなかった（21.9％）」が続いた。仕事の悩みを相談する相手は、「同僚」が59.3％で最多、「友人」50.0％、「家族」40.7％が続く結果となった。
次に、現在の勤め先の園の「良いところ」を尋ねると、「人間関係」が51.9％でもっとも多く、ついで「休暇保障」が45.4％だった。さらに、選択肢以外で「良いところ」を自由回答してもらったところ、「小規模保育園なので、全体に目が行き届く。（31歳）」や「分担しているため担任を持っていても仕事量が多くない（28歳）」等の意見が聞かれた。
一方、「改善して欲しいところ」を尋ねると、半数を超える55.6％が「給与・待遇」と回答。続いて、「人員体制（40.7％）」「休暇保障（25.0％）」に不満があることがわかった。自由回答では、「休憩をしっかり取れる体制にしてほしい」や「仕事量の改善」等を求める声もあがった。
最後に「今後、保育施設が取り組むべきこと」を自由回答してもらったところ、「事務の見直しと事務時間の確保（64歳）」や「研修を充実させ、キャリアアップや保育力の向上（24歳）」等、保育の質向上を目指す具体的な施策があげられ、保育士の仕事に対する意識の高さがうかがえた。今後、保育士からも"選ばれる園"となるためには、保育士のキャリアアップのシステムの構築や、ゆとりをもって働ける職場環境の改善等が保育園側にも求められており、これらの取組みが、ゆくゆくは保育士という職業のイメージアップ、さらには子育て環境全体の向上にも繋がるのではないだろうか。
