5~11歳に対する新型コロナワクチンの3回目接種が実施可能となったことを受けて、文部科学省は2022年9月6日、全国の教育委員会等に向けて学校等の考え方や留意点等を通知した。ワクチン接種にともなう欠席や予防接種歴の取扱いの方針等を示している。
予防接種法施行令の一部改正により、12歳未満の小児に新型コロナワクチン接種を受ける努力義務が適用。予防接種実施規則等の一部改正により、5歳以上11歳以下の小児に対する新型コロナワクチンの3回目接種が実施されることになった。
文部科学省は、今回の改正を踏まえ、新型コロナワクチンの幼児児童生徒に対する実施について、学校等(高等課程を置く専修学校、幼保連携型認定こども園、保育所を含む)における考え方や留意点等を取りまとめ、9月6日付で全国の教員委員会等に向けて事務連絡を発出した。
学校等を会場とした集団接種については、現時点で推奨しないと説明。そのうえで、個別接種体制の確保が困難である場合等、特に地域の事情で学校等集団接種を行う必要がある場合は、努力義務が適用されることになっても接種はあくまで本人と保護者の意思であることに変わりはなく、事実上の強制となることがないよう、引き続き留意してほしいとした。
ワクチン接種にともなう出欠の取扱いについては、期日や場所の選択が困難で、接種場所までの移動に長時間を要する場合等に校長が「非常変災等生徒または保護者の責任に帰すことのできない事由で欠席した場合等で、校長が出席しなくてもよいと認めた場合」に該当すると判断し、指導要録上「出席停止・忌引き等の日数」として記録することで欠席としない等、柔軟な取扱いも可能と説明している。
予防接種歴の取扱いについては、「接種の強制につながることのないよう、市町村や学校等おいては、幼児児童生徒の行事への参加等に際して、ワクチン接種等の条件を付すべきではない」と明記。何らかの理由で予防接種歴を把握する必要が生じる場合は、個人情報として取扱いに十分留意する必要があるとしている。
また、接種の有無で差別やいじめ等が起きることのないよう「接種は強制ではない」「周囲に接種を強制してはいけない」等を幼児児童生徒に指導し、保護者にも理解を求めるよう要請。市町村には、ワクチン接種にともなう差別やいじめ等の相談窓口設置も求めている。