みんなのコードと宮城教育大附属小学校は2022年4月14日、「コンピュータサイエンス(CS)教育」の授業の実践・研究・カリキュラム開発を行う実証研究について、2021年度の報告書を発表した。学校全体でコンピュータサイエンスに取り組んだことで、教員間でのスキル格差の認識が低減したことが明らかになった。 同実証研究は、小中学校を併設する宮城教育大学の特質を生かし、9年間の義務教育期間を通じた指導計画の作成やコンピュータサイエンス教育の重要性について実証研究を行っている。実施期間は2020~2022年度。「公教育におけるプログラミング教育必修化の定着と発展をとおした地域格差の是正」プロジェクトとして、日本財団から助成を受けている。 実証研究2年目となる2021年度は、各学年とも年間10時間のコンピュータサイエンスの授業を実施し、2020年度実施した授業のアップデートに加えて、2021年度は新たな実践内容を追加した。 同校の児童へ実施したアンケート結果によると、各学年とも8割以上の児童が「コンピュータの学習は大人になった時に役立つ」と回答。特に5年生は、97%の児童が「コンピュータがこれからの人生を手助けをしてくれていると考えている」と回答した。 また、2020年度の実践前には、6割の児童がパソコンやタブレットを使うことを「楽しい」と感じていた。授業の中で頻繁にパソコンやタブレットを使うことで、8割以上が「楽しい」と実感したことがわかった。 一方、教員へのアンケート結果によると、2020年度の実践前には、ICT活用スキルが教員間で格差が生じていると回答をした教員が54%と、教員の半数以上が格差があると感じていた。その後、2021年度終わりには、26%に減少し、実際に学校全体でコンピュータサイエンスに取り組んだことで、教員間でのスキル格差の認識が低減したことが明らかになった。 前 宮城教育大学附属小学校 教頭の佐藤俊宏先生は、「本実証研究2年目の2021度は、飛躍的に進化を遂げた1年となりました。その背景の一つには、組織的な改善を図ったことにあります」と振り返る。「2022年度は、本実証研究3年目の最終年度となります。本実証研究が、Society5.0の時代に向けた未来の学校教育の新たな指針となることを願って更に飛躍する1年としていきたいと思います」と抱負を語った。