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科目別QS世界大学ランキング2022、日本は海外競合との歩調合せに苦戦

 世界大学評価機関の英国クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds、以下QS)は2022年4月6日(現地時間)、最新版となるQS World University Rankings by Subject 2022(2022年度版科目別QS世界大学ランキング)を発表した。

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QS World University Rankings by Subject 2022
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 世界大学評価機関の英国クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds、以下QS)は2022年4月6日(現地時間)、最新版となるQS World University Rankings by Subject 2022(2022年度版科目別QS世界大学ランキング)を発表した。研究への投資停滞と国際的な競争激化により、日本の高等教育分野がアジア地域や全世界での競合との歩調合せに苦戦している結果となった。

 QS世界大学ランキングポートフォリオの発表は2004年に開始。大学のパフォーマンス比較データとして、世界でもっとも多く参照される情報源となっている。ランキングを掲載しているQSのWebサイト「QS TOP UNIVERSITIES」の閲覧回数は、2021年には1億4,700万回以上となった。

 2022年度版のランキングは、世界各地88個所にある1,543大学の学生が受講している1万5,200の各大学の個別科目のパフォーマンスについて、独立した比較分析を提供。調査対象は51科目5学問領域(芸術・人文学、工学・技術、生命科学・医学、自然科学、社会科学・経営)。日本国内51大学における51科目5学問領域486科目のパフォーマンスについても発表している。

 2022年度は、398のアジア地区の大学の科目が上位50位にランク入り。この中の105は中国から、76が香港から、72が日本からで、日本の該当科目の48%が順位を下げ、32%は順位不動、順位を上げた科目は16%となった。学科領域の世界上位50大学にランク入りした日本の大学の学部数は、2019年には79だったが2022年には72まで減少している。

 海外の競争校がますます多様化する一方で、日本の高等教育分野は依然として単独フラグシップ大学である東京大学によって上位を占められており、科目別の世界上位20位以内にランク入りしている日本の15科目(2021年度から3科目減少)は、1科目を除いてすべてが東京大学のものだった。日本の高等教育が困難に直面する中でも日本の上位大学は依然としてアジアの最高峰の一部であり続けており、中でも東京大学は41科目が学部別世界上位50大学にランク入りして、アジア地区の中で最多の結果となった。

 QSは、日本がQS世界大学ランキングで成績不振になっている一因を、科学・技術の研究に対する日本の支出が過去10年間に世界の多くの競合校に遅れを取ったという事実にあると考察。中国が博士号課程の学生数を安定的に増加させ、2025年までにSTEM教育を専攻する学生がアメリカの約2倍になると予想する一方で、博士号候補者に十分な資金を提供してこなかった日本が過去20年間で博士号候補者数を一貫して減らしていると指摘。イノベーション、イノベーター、大学への限られた投資が結果的に研究成果の減少につながり、QS世界大学ランキングの結果に直接的に現れているとコメントしている。

 全ランキングは、Webサイト「QS TOP UNIVERSITIES」で閲覧可能。4月27日午後5時からは、2022年度版科目別QS世界大学ランキングに関するウェビナーが、QSの日本地区オフィシャルパートナーであるKEIアドバンスとQSの共催で、おもに高等教育機関の関係者向けに開催され、ランキングに関する概要説明とアジア諸国と比較した日本の大学の動向に関する説明がQSから行われる。

◆2022年度版科目別QS世界大学ランキング アジア上位10校(各校の上位100位以内の科目数)
東京大学(日本/41)、ソウル大学校(韓国/38)、北京大学(中国/37)、シンガポール国立大学(シンガポール/30)、清華大学(中国/27)、香港大学(香港/27)、南洋理工大学(シンガポール/25)、香港中文大学(香港/21)、京都大学(日本/16)、香港科技大学(香港/16)

◆2022年度版科目別QS世界大学ランキング 日本の大学の最上位の5科目
東京医科歯科大学(歯科学/6位)、東京大学(現代語学/7位)、東京大学(物理学・天文学/10位)、東京大学(化学工学/15位)、東京大学(地球海洋科学/15位)

《増田有紀》

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