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【相談対応Q&A】特別支援級の指導内容は?

 特別支援教育に関する内容は多くの方が関心を持っています。しかし、保護者の中には、なかなか詳細まで理解できている人は多くはありません。今回は、特別支援学級の指導内容に関することをテーマとしたいと思います。

事例 その他
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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第59回のテーマは「支援級でも掛け算や割り算を教えてもらえるのか?」

 特別支援教育に関する内容は多くの方が関心を持っています。ただ「特別支援学級」「発達障害」等の言葉は知っていても、保護者の中には、なかなか詳細まで理解できている人は多くはありません。今回は、特別支援学級の指導内容に関することをテーマとしたいと思います。

保護者へ積極的に情報提供することが大事


 学校は、保護者に対して特別支援教育の仕組みを積極的に伝えていくことが大事なのだと思います。特別支援学級や特別支援学校は、通常学級での学習に何らかの困難を抱える子供の学びのためにあります。特別支援学級は小学校や中学校の中に設置されている学級です。自治体によっては、すべての学校に設置されている訳ではありません。特別支援学校は独立した学校です。聾学校、盲学校等もこういったものの1つに含まれます。

 中学や高校年代の生徒が通う学校(特別支援学校中等部・高等部等)では、卒業後の就労を意識した学習内容が多くなる傾向があります。学校内で就労に関する内容を学び、実際に現場での体験等を通して、さらに学びを深めていくというやり方です。そういったこともあり、あまり国語、算数等の学習をしていないのではと思う方もいるようです。

 実際の学校(特別支援学校、特別支援学級)においては、その子供の実態に応じて、国語や算数等の学習にも取り組んでいます。特に小学校や中学校にある特別支援学級においては、国語や算数等の学習に力を入れて取り組んでいます

 通常学級で算数の授業を行う際、その時の学級の子供の学びの状態は次のようになります。算数がとても得意または塾等に通っていてその学習内容をすでにほとんど理解している子供、得意でも不得意でもない子供、算数が不得意でそれまでの学習内容の理解も十分でない子供。大部分は真ん中の層になります。1クラスに35人の子供がいる場合、担任が1人で対応すると、どうしても苦手な子供のケアが十分にできないままの授業進行となりがちです。

特別支援学級では子供のペースに合わせて進める


 特別支援学級等では、集団指導の中では学びが深まりにくい子供を個別にケアしながら学習に取り組んでいきます。算数等の積み重ねが重要となる教科では特にそういった対応が効果を発揮します。その子供が理解できていない部分、苦手としている部分を重点的に、その子供に合ったペースで学んでいきます。

その子供に適した学びを


 逆に集団で取り組んだ方が学びが深まる教科(体育、音楽等)は、通常学級で受ける場合もあります。学籍を特別支援学級に置き、いくつかの教科を通常学級で受けるパターンと、学籍を通常学級に置き、いくつかの教科を特別支援学級で受けるパターンがあります。特別支援教育は、さまざまな形があります。その自治体の仕組みの中でその子供に適した学びの場はどういったものなのかを保護者と教員で一緒になり、探っていくことが大切でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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