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教室面積、新しい学びに対応したゆとりある空間へ…文科省

 文部科学省は2021年7月16日、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について有識者会議による中間報告案を公表した。ICT活用等により学びのスタイルが変容し、現状の教室面積では空間的な余裕がないとして、ゆとりのある教室を整備するよう求めている。

教育行政 文部科学省
学校における身体的距離の確保(教室の規模)
  • 学校における身体的距離の確保(教室の規模)
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  • 教室用机の状況
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  • 新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方(イメージ)
  • 中間報告案の概要
 文部科学省は2021年7月16日、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について有識者会議による中間報告案を公表した。ICT活用等により学びのスタイルが変容し、現状の教室面積では空間的な余裕がないとして、1人1台端末環境等に対応したゆとりのある教室を整備するよう求めている。

 「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」では、1人1台端末環境のもと、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けて、新しい時代の学校施設の在り方を議論。7月16日開催の第12回会議において、中間報告案を公表した。

 中間報告案では、新しい時代の学びに対応するためには、ポストコロナ時代において子供たちがともに集い、学び、生活する学校施設という実空間の価値をとらえ直す必要があると指摘。ICT活用等により、学級単位で1つの空間で一斉に黒板を向いて授業を受けるスタイルだけでなく、学びのスタイルが多様に変容していく可能性が広がっているとしている。

 現状の公立小中学校の普通教室の平均面積は64平方メートルで、約7割の教室が65平方メートル未満。教室用机は、旧JIS規格の机(幅600mm×奥行400mm)ではICTを活用した授業の際に机の大きさが原因で机の上で教材等を自由に広げることができず、約8割の学校が支障を感じている状況にある。新JIS規格の机(幅650mm×奥行450mm等)はより広くICT端末や教材・教具等を同時に使用できる一方、通路幅が狭くなり机間指導がしにくい等の課題が指摘されている。

 中間報告案では、新しい学校施設の姿(ビジョン)のキーコンセプトを「Schools for the Future 『未来思考』で実空間の価値をとらえ直し、学校施設全体を学びの場として創造する」と設定。個別最適な学びと協働的な学びに対応し、柔軟で創造的な学習空間を実現すること等を盛り込んでいる。

 教室空間については、1人1台端末等に対応した教室用机や大型提示装置、充電保管庫等の整備が求められることから、平均面積64平方メートルの教室では学級規模によっては空間的な余裕がない状況が発生すると説明。学校の建築時や既存施設の改修時には既存の面積資源の有効活用・再配分を行い、学習・活動内容を踏まえた教室サイズの検討を推進する必要があるとしている。

 施設規模や予算の制約、構造条件等により、容易に教室面積を広げることができない場合は、各学校等の実情を踏まえた創意工夫が重要とした。教室空間の改善・充実の例には、「1人1台端末環境等に対応したゆとりのある教室の整備」「多目的スペース活用による多様な学習活動へのフレキシブルな対応」「ロッカースペース等の配置の工夫等による教室空間の有効活用」の3つをあげ、工夫例等を具体的に示している。
《奥山直美》

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