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3割の青年教職員「パワハラ」受けた…全教調べ

 31.9%の青年教職員が過去3年間でパワーハラスメント(パワハラ)を受けていたことが、全日本教職員組合(全教)青年部常任委員会が2020年8月24日に発表した調査結果より明らかになった。

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過去3年間でパワハラを受けたことはあるか
  • 過去3年間でパワハラを受けたことはあるか
  • パワハラの具体的な内容
  • パワハラは誰から受けたか
  • ハラスメントに対して誰に相談したか
  • ハラスメントのない職場づくりのために、どのようなことが必要だと思うか
 31.9%の青年教職員が過去3年間でパワーハラスメント(パワハラ)を受けていたことが、全日本教職員組合(全教)青年部常任委員会が2020年8月24日に発表した調査結果より明らかになった。指導に名を借りたハラスメントが多く、経験の浅い青年教職員が弱い立場に立たされているという。

 青年教職員に対するハラスメントについての調査は、29都道府県の小学校・中学校・高校・特別支援学校などの教職員を対象に実施し、男性267人と女性211人、記入なし333人の計811人から回答を得た。年代は、20代382人、30代367人、その他43人、記入なし19人。調査期間は2019年8月~12月。

 過去3年間でパワハラを受けたことがあるか聞いたところ、「よくある」6.3%と「ときどきある」25.6%の計31.9%がパワハラを受けていた。一方、「ない」59.8%、「わからない」8.3%だった。

 校種別にみると、「小学校」が49.5%ともっとも多く、「中学校」39.1%、「特別支援学校」31.4%、「高校」27.1%が続いた。男女別にみると、「男性」26.8%に対し、「女性」35.5%と、女性のほうがパワハラを受けていた。

 パワハラの具体的な内容(複数選択可)は、「相手が正しいと思うことを一方的に押し付けられた」が53.4%ともっとも多く、「怒鳴られた、過剰な叱責を受けた」35.6%、「(子どもや保護者の前、職員室でなど)適切でないタイミング・場所で指示・指導を受けた」34.0%、「陰で悪口を言われた」32.8%、「(人格否定、差別的発言など)適切でない表現で指示・指導を受けた」26.9%、「(仕事を押し付けられたなど)職務上必要ない、適切でない仕事を指示された」22.9%などが続いた。指導に名を借りたハラスメントが多く、経験の浅い青年教職員が弱い立場に立たされていると考えられる。

 誰からハラスメントを受けているかについては、パワハラは「管理職」43.5%・「同僚」65.2%、セクハラは「管理職」22.7%・「同僚」62.1%、マタハラは「管理職」45.5%・「同僚」54.5%と、パワハラ、マタハラ、セクハラのいずれも、管理職よりも同僚から受けている割合が高い。校種別にみると、小学校・中学校は管理職からが多く、高校・特別支援は同僚からが多い。

 パワハラ・セクハラ・マタ(パタ)ハラを受けたことがある人を対象に、ハラスメントに対して誰かに相談したか聞いたところ、「同僚」が46.6%ともっとも多く、「友人」「家族」それぞれ27.6%、「管理職」17.2%、「労働組合」16.3%、「行政の相談窓口」1.8%が続いた。「相談していない」は9.2%と、何らかのハラスメントを受けた10人に1人が、誰にも言えずに我慢している深刻な状況にある。また、何らかのハラスメントを受けている人の29.4%が「ハラスメントが原因で退職しようと思ったことがある」と回答した。

 ハラスメントのない職場づくりのために、どのようなことが必要だと思うか、何らかのハラスメントを受けたことがある人に聞いたところ、「管理職の意識改善」が57.0%ともっとも多く、「相談しやすい職場環境」49.3%、「業務量の軽減」43.9%、「教職員の定数増」43.6%、「ハラスメントについての研修」28.2%、「相談窓口の設置」23.1%など。意識改善にとどまらず、働く環境そのものを変え、多忙化を解消するなどの条件整備を求める声が多く寄せられた。

 全教は「ハラスメントの温床となる学校現場での恒常的な長時間過密労働を根本的に是正することや、教職員不足を解消することは喫緊の課題」だとし、教育に夢と希望を抱いて教職の道を歩み始めた青年教職員が、生き生きと教育に取り組むことができる労働条件と教育条件整備を速やかに行うことを行政に求めていくとしている。
《工藤めぐみ》

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