文部科学省は2025年3月5日、医学系研究支援プログラムの事業運営の方針を公表した。事業のスキームや類型、国家戦略上重要な研究課題、実施機関に期待される取組内容や研究体制などを定めている。
臨床医学・基礎生命科学の分野では、ハイインパクトな論文数に占める日本のシェアが低下しており、医学系研究の相対的な国際競争力の低下が危惧されている。そこで、文部科学省は新たな事業として「医学系研究支援プログラム」を創設。2024年度補正予算に134億円を計上し、医学系研究力の向上を図る。
3月5日には、文部科学省に設置された「医学系研究支援プログラムの運営に関する検討会議」において、運営方針を策定した。
運営方針によると、医学系研究支援プログラムは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に設置された革新的研究開発推進基金において、2027年度までを予算措置期間とする基金事業として実施。医学部を有する大学の中から公募で採択される機関を実施機関とし、必要な経費をAMEDから補助する。
事業では、基礎と臨床の協働等を通じて原理・病態解明から治療法の創出まで総合的な研究力の向上を目指す「総合型」、強みのある分野の臨床研究等においてネットワークを活用して多くのデータや知見を共有し優れた成果の創出を目指す「特色型」の2類型を設ける。
採択件数は「総合型」が4件程度、「特色型」が7件程度。1件あたりの支援人数は、「総合型」が12人程度、「特色型」が24人程度。1件あたり3年間の支援規模は、「総合型」が7.2億円(研究費5.4億円、研究環境整備費1.8億円)、「特色型」が13.8億円(研究費10.8億円、研究環境整備費3億円)。支援を受ける研究者1人あたりの研究費は年間1,500万円(一般管理費を含む)とする。
国家戦略上重要な研究課題には、「生命科学とAI/データ駆動型研究の融合」「基礎医学と臨床医学の連携・協働によるヒトに係る生命現象の解明」「健康・医療戦略等の国家的・社会的要請への貢献」「少子・超高齢社会を迎える日本社会の持続性・継続性向上への貢献」の4分野を設定。実施機関に期待される取組内容も示し、事業の予算期間の終了に先立ち、2027年度中に中間評価を実施し、2028年度に予算期間の評価を行うとしている。