2025年3月4日、あべ文部科学大臣は記者会見を開き、放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)の共用利用開始、高等教育機関の修学支援制度の要件見直し、小中学校の指導体制に見合った授業時数の計画見直しについて発表した。また、月や火星探査をめぐる今後の宇宙政策についても言及した。
NanoTerasuは宮城県仙台市で運用されている先端大型研究施設で、2025年3月3日より特定の先端大型研究施設の共用の促進に関する法律に基づく共同利用を開始した。今回の利用には308件が採択され、世界最高性能を達成したビームラインを活用することで質の高い研究成果の創出が期待されている。
宇宙政策に関しては、米国主導のアルテミス計画に日本も参加しており、日米宇宙協力の重要な柱として継続する方針が確認された。日本は現在、火星への有人探査計画を有していないが、火星衛星探査計画MMXを進めている。
高等教育機関の修学支援制度については、2024年度から基準以上に定員割れが続いた大学などを支援制度の対象外とする要件を厳格化していたが、対象校が非常に多くなったことから、2025年度には要件を緩和する方針を示した。文部科学省は、地域の経済社会にとって不可欠な専門人材の育成に貢献している大学等への配慮を考慮し、機関要件の見直しを進めている。
小中学校の授業時数については、2024年度の計画で標準授業時数を大幅に超えていた学校が多く、都道府県間で大きな差があることが調査結果から明らかになった。文部科学省は、標準を上回った時数が真に必要な時間かどうかを精査し、指導体制に見合った改善を図るよう通知を発出した。
教育の無償化に関しては、自民党、公明党、日本維新の会の3党で合意文書が取り交わされ、修正案が可決された。文部科学省は、国会での審議を踏まえ、具体的な制度設計を進める方針を示している。