文部科学省は2025年12月4日、Web会議にて第13回特別部会を開催し、高等教育政策の今後の方向性と具体的方策について議論を行った。永田恭介部会長をはじめとする委員や文部科学省の関係者が出席し、少子化に対応した高等教育の質と規模の見直しについて意見を交わした。
この会議は、少子化が進行する中で、将来的な高等教育の在り方を検討することを目的としている。文部科学省のデータによれば、現在63万人の大学進学者数は2040年には約46万人、現在の73%に減少する予測が示されている。このような状況を踏まえ、教育の質を維持しつつ、規模の適正化を図ることが求められている。
会議では、質の向上に向けた具体策として、認証評価制度の見直しが提案された。新たな制度では、教育の質を数段階で示し、国民に対してわかりやすく説明することで、社会的評価の促進を図ることが重要視されている。また、教育の質が十分に担保されていない機関については、縮小や撤退を促すことが望ましいとされた。
さらに、大学院教育の改革も議題にあがった。自然科学系では博士課程進学者の増加を目指し、人文・社会科学系では修士課程進学者の増加を図ることが提案された。また、社会人が1年で学位取得を可能とする早期修了制度の活用も進められるべきとされた。
規模の適正化に関しては、学部定員の縮小を図りつつ、質の向上や大学院へのシフト、留学生や社会人の受け入れ強化を支援することが重要とされた。また、新たな学部等の設置に際しては、教学面での質の高さや社会的必要性をこれまで以上に求めることが必要とされた。
地域の高等教育機関の連携強化も議論された。地域連携プラットフォームを発展させ、地域の高等教育機関、地方公共団体、産業界等が協力して実効性ある取り組みを推進するための協議体を構築することが提案された。
最後に、財政支援の在り方についても議論が行われた。高等教育への投資は未来への先行投資であり、大胆な投資を進めることが我が国の成長に必要であるとされた。公財政支援や社会からの投資、個人・保護者負担の見直しを進め、教育コストの明確化と負担の仕組みの見直しを行うことが求められている。
このように、少子化に対応した高等教育政策の具体策が提示され、今後の日本の高等教育の在り方についての議論が深まった。質の向上と規模の適正化を両立させるための取組みが、今後の課題として浮き彫りになった。