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コニカミノルタ×箕面市、実証調査研究…ビッグデータ活用

 コニカミノルタジャパンは、箕面市教育委員会が採択されたデジタル庁が実施する「教育関連データのデータ連携の実現に向けた実証調査研究」において、小・中学校に提供している学校教育向けソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」を活用した実証調査研究を開始した。スタディログなどの教育データを統合的に分析し、ひとりひとりにあった学習支援の実現と、学校経営力の向上を目指す。

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tomoLinksを活用した実証調査研究の内容
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 コニカミノルタジャパンは、箕面市教育委員会が採択されたデジタル庁が実施する「2023年度教育関連データのデータ連携の実現に向けた実証調査研究」において、小・中学校に提供している学校教育向けソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」を活用した実証調査研究を開始した。スタディログなどの教育データを統合的に分析し、ひとりひとりにあった学習支援の実現と、学校経営力の向上を目指す。

 文部科学省が2019年にGIGAスクール構想を提唱して以来、学校内のICT環境は飛躍的に充実してきた。新時代には「誰1人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」が求められており、その実現に向けてはICTを基盤とした先端技術や教育ビッグデータの効果的な活用が必要だと考えられている。教育現場では、デジタル教科書や学習アプリの導入が進められており、スタディログを蓄積させるための環境は整備されてきた。しかし、スタディログを用いた分析については、手法が十分に確立されていないことから、今回、実証調査研究が公募された。

 箕面市では、経験年数20年以上のベテラン教員の大量退職という背景から、若手教員の指導力・授業力の向上と、子供たちの継続的できめ細やかな育成を進めるために、独自の「箕面子どもステップアップ調査」を実施。小学校から中学校まで9年間の学力・体力・生活実態に関するビッグデータの把握・分析を行っている。その施策の1つとして「tomoLinks」を活用しており、児童生徒約1万3,000人の10年分の学力テストや、生活状況調査から把握できる環境データをもとに、独自の分析AIモデルを作成して教育データの活用を実践。その結果、60%以上の児童生徒の学力が向上する効果を生み出しているという。

 実証調査研究では、これまでも箕面市で活用されてきた「tomoLinks」を通じ、スタディログやそのほかの教育データのさらなる活用を進めるために、効果的な分析手法の確立と分析に有効なデータの特定を行う。また、改訂された個人情報保護法下における「教育行政系データ」の活用方法についても検討を行い、これまで箕面市が進めてきた教員の働き方改革、子供たちの学び方改革のさらなる加速を目指すという。

 なお、「tomoLinks」は2019年より、教育現場のフィードバックを製品に反映しながら開発を進めてきたクラウド型学習支援サービス。「学習支援」「先生×AIアシスト」「授業診断」の3つのサービスで構成されている。

 今回の実証調査研究では、「先生×AIアシスト」の機能を活用し、小学校6年生と中学校1年生の学級を対象に、11月より「個別最適な学びにおける検証」「生徒指導・学級経営における検証」の2つの観点から実施。「個別最適な学びにおける検証」では、現在実施している各種テスト、各種学習アプリケーション上のログなどを分析することで、学習の個性化を支援する仕組みについて、構築手法の実証を行う。「生徒指導・学級経営における検証」では、子供自身が入力する「こころの日記」、子供たち同士の関係性、保護者との連携状況などから、学級崩壊の予兆を把握し手だてを講じたり、きめ細やかな指導に向けた分析が可能かなどを分析するという。

《木村 薫》

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