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Next GIGA、児童生徒の端末更新「政府予算を想定」9割以上…MM総研

 MM総研は2023年5月、全国自治体1,741の教育委員会を対象に、国公立小中学校で2025年ごろに迎えるNext GIGAについて、教育現場や自治体の更新への意向を分析するため、電話ヒアリング調査を実施した。回答件数は1,246件であった。

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児童生徒の端末更新時に想定している予算 ー政府GIGAスクール予算ー
  • 児童生徒の端末更新時に想定している予算 ー政府GIGAスクール予算ー
  • 個人所有端末の運用に関する教育委員会の意向(自治体数による比較)

 MM総研は2023年5月、全国自治体1,741の教育委員会を対象に、国公立小中学校で2025年ごろに迎えるNext GIGAについて、教育現場や自治体の更新への意向を分析するため、電話ヒアリング調査を実施した。児童生徒用端末の更新の財源として、94%の自治体が政府のGIGAスクール関連予算を想定していることがわかった。

 MM総研は2023年5月、全国自治体1,741の教育委員会を対象に、「小中GIGAスクールにおけるICT整備動向調査」を実施した。国公立小中学校で2025年ごろに迎える「児童生徒用の端末更新」や「次世代校務支援システムの導入本格化」など、Next GIGAといわれるICT環境の大型更新について、教育現場や自治体の更新への意向を分析するため、電話による聞き取り、一部e-mailやFAXによる調査票の送付・回収を併用し、調査を行った。回答件数は1,246件であった。

 調査結果では、児童生徒用端末の更新の財源として、94%の自治体が政府のGIGAスクール関連予算を想定していることがわかった。このうち約3割の自治体は、独自予算を組むことも想定しているが、政府予算を前提とし、追加で必要になる部分に独自予算をあてていく考え。

 保護者負担を検討している自治体は、2%にとどまった。家庭負担には目的や意義の説明、経済格差への配慮などの必要もあり、現環境でICT活用に注力する教育委員会は、整備の前提が大きく変わることは選択肢としにくいものと想定される。

 仮に政府のGIGAスクール端末予算がない場合、独自予算だけでは調達できない自治体も出てくると想定される。保護者負担も取り入れながら端末整備をする場合を想定し、次回更新でもっとも家庭負担の少ない個人所有の端末利用(BYOD)で運用できるかを尋ねた。BYODで「まったく問題なく運用できる」との回答は1%にとどまり、「多少問題は出るが運用できる」まであわせても1割ほどであった。アプリの動作環境、トラブル対応に加え、ゼロトラストセキュリティ対策など、運用にあたってのハードルがいくつもあるためとみられる。

 2025年から「次世代校務支援システム」の導入を本格化させるが、実現にあたっては、コスト削減や調達・運用負担の軽減を狙った校務支援システムのクラウド化、利便性向上を狙い校務系と学習系の回線統合を進める。将来的にはデータ連携・活用を進め、校務の高度化も目指す。こうした動きに対し、次世代校務支援システムのインフラについて方針を決めている自治体は約4割であった。2023年度から政府の実証が始まり、詳細な仕様はこれからのため、決めかねている自治体も多いようすがうかがえる。

 一方、方針を決めた自治体では「クラウドを利用する」が78%と多数を占めた。内訳はSaaS型の利用が42%と高く、ついでPaaS型/IaaS型が36%となった。特に、SaaS型はイニシャルコストや運用負荷を下げやすいことがおもな理由と考えられる。オンプレミス型を堅持する自治体も22%あった。

 文部科学省は7月に入り、生成AI(人工知能)の活用に関するガイドラインを発表した。ガイドライン発表前に実施した調査のなかで、教育委員会に「生成AI(ChatGPTなど汎用AI)の利用について、推奨や制限などの指針をもっていますか」と尋ねたところ、回答を得た1,185自治体のうち、児童生徒の活用を推奨する方針の教育委員会は5団体(1%以下)にとどまり、96%に相当する1,132自治体は、推奨も制限もしていないと回答した。

 活用を推奨する方針と回答した5団体のうち4団体が人口5万人未満の自治体で、3団体は小中学校の児童生徒数が1,000人未満、市町村区分でも町や村であった。もっとも規模の大きい自治体でも、児童生徒数は1万人を超えない。この5団体は、プログラミングや英語教育などのデジタル活用、もしくは自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)など、イノベーションにデジタルを活用している。MM総研の中村成希取締役研究部長は「デジタル新技術を活用する場合、必ずしも組織の規模や地域差は関係なく、人材確保や技術サポートがあれば小規模組織のほうが俊敏に対応できる可能性を示している」とコメントしている。

《いろは》

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