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教員の業務・処遇を抜本的見直し…政府「骨太方針」原案

 政府は2023年6月7日に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」の原案を示した。昨今、改善への気運が高まる教員の働き方改革については、抜本的な処遇改善を図ると明記。注目が集まる「異次元の少子化対策」については記載が見送られた。

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経済財政諮問会議のようす
  • 経済財政諮問会議のようす
  • 議事次第:令和5年第8回経済財政諮問会議

 政府は2023年6月7日に「2023年第8回経済財政諮問会議」を開催。「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」の原案を示した。昨今、改善への気運が高まる教員の働き方改革については、抜本的な処遇改善を図ると明記。注目が集まる「異次元の少子化対策」については記載が見送られた。

 骨太方針では、中長期の経済財政運営の項目の1つとして「教育・研究活動の推進」について記載。「世界に冠たる令和型の質の高い公教育の再生に向けて、教育の質の向上に総合的に取り組む」との目標を掲げ、教育分野における各種施策をまとめた。

 教育の質を確保するうえで柱ともなる、教員の質の向上については、働き方改革のさらなる加速化や処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進めると明記。長時間労働や業務過多が問題となる中、慣習にとらわれずに学校・教員が担う業務の適正化を推進し、各種手当の見直しによる職務の負荷に応じたメリハリある給与体系を構築するなどの案を提示。残業代を支払わない代わりに基本給に調整額を上乗せする現行の「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」の法制的な枠組みや具体的な制度設計を検討し、教員の処遇を抜本的に見直すとした。

 全国で深刻化する教員不足について、志ある優れた教員の発掘・確保に全力で取り組むほか、部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行など、在外教育施設の機能強化を含め、新しい時代の学びの実現に向けた環境整備を進めるとしている。

 経済事情によらず誰でも学ぶことのできる環境の整備の一環として、2024年度から授業料等減免および給付型奨学金の多子世帯や理工農系学生などの中間層への拡大、大学院修士段階における授業料後払い制度の創設、貸与型奨学金における減額返還制度の年収要件の柔軟化など、安定的な財源を確保しつつ高等教育費の負担軽減を着実に進める。

 また、地域と連携したコミュニティ・スクールの導入加速や、ICTを効果的に活用した不登校・重大ないじめ・自殺への対応、特異な才能への対応、インクルーシブな学校運営モデルの構築など、特別支援教育の充実を図るとともに夜間中学の全国的な設置促進・機能強化を図るなど、多様な子供たちの特性や少子化の急速な進展といった地域実情を踏まえ、誰1人取り残さない教育の実現を目指す。

 一方、先のこども未来戦略会議で示された異次元の少子化対策に集中して取り組む「加速化プラン」については、今回の原案では空欄のままとし、具体的な施策案の記載は見送られた。

《畑山望》

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