文部科学省は2023年1月23日、「夜間中学の設置・充実に向けて(手引)」第3次改訂版を公開した。不登校特例校(併設)の教育課程の工夫事例の他、設置に向けたスケジュール等を紹介。現状、40校の夜間中学を、全都道府県・指定都市に少なくとも1つの設置を促す。
夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した者だけでなく、不登校等さまざまな事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した者、義務教育を修了していない外国籍の者等、義務教育を受ける機会を実質的に保障するための役割が期待されている。
「夜間中学の設置・充実に向けて(手引)」は、自治体における夜間中学の設置に向けた検討や、既設の夜間中学の教育機会や内容の充実を図るために文部科学省が作成。前回改定(2018年7月)から4年が経過したこと、2020年(令和2年)国勢調査の結果が明らかになったこと等を理由に改定を行い第3次改訂版を公開した。
おもな改定内容は4点。1つ目は2020年(令和2年)国勢調査の結果。学齢を経過した者の中で、未就学者約9万4千人、最終卒業学校が小学校の者約80万4千人について、全都道府県別、指定都市別および市町村別の人数を掲載している。
2つ目は、不登校となっている学齢生徒の受入れについて。不登校施策の一環として夜間中学の活用を推進するため、不登校学齢生徒の受け入れ方法をより明確化するとともに、不登校特例校を併設している京都市洛友中学校の教育課程の工夫事例等を紹介。
3つ目は、広報の充実。夜間中学の認知度を高めるための工夫として、自治体庁舎内の他、就労・国際・福祉・医療関係施設、交通機関等、チラシの設置やポスターの掲示場所を例示するとともに、文部科学省において新たに作成したポスター、フライヤー、パンフレットの関連リンク先を紹介。
4つ目は、夜間中学設置までのスケジュール例。自治体の設置に向けた検討に資するよう、開校までの準備や取組みに係る具体的なスケジュールを紹介している。
文部科学省の調査によると2022年10月時点の既設夜間中学は、北海道1校、茨城県1校、埼玉県1校、千葉県2校、東京都8校、神奈川県3校、京都府1校、大阪府11校、奈良県3校、兵庫県2校、広島県2校、徳島県1校、高知県1校、香川県1校、福岡県1校の15都道府県40校。夜間中学の開校を公表している地域は、熊本県、群馬県等8県。滋賀県、石川県等の4県では開校に向け検討中としている。