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不登校生徒に「夜間中学」の選択肢を…カタリバ実証事業開始

 カタリバは2023年1月17日、文部科学省の「夜間中学の設置促進・充実事業」に採択されたことを受け、不登校支援事業において夜間中学を活用する実証事業を開始したことを発表した。すでに足立区立第四中学校へ2名が通学。夜間中学の活用で新たな学びの場を届ける。

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夜間中学を活用する実証事業
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  • 夜間中学で学ぶ生徒のようす

 カタリバは2023年1月17日、文部科学省の「夜間中学の設置促進・充実事業」に採択されたことを受け、不登校支援事業において夜間中学を活用する実証事業を開始したことを発表した。すでに足立区立第四中学校へ2名が通学。夜間中学の活用で新たな学びの場を届ける。

 文部科学省の2021年度の調査によると、国内の小中学校における不登校の児童生徒を含む「長期欠席者」は約41万人(うち不登校児童生徒は約24万人)にのぼり、過去最多を更新。一方、不登校の子供たちをサポートする「教育支援センター」の設置は努力義務とされており公的支援が不足している。

 そうした中、文部科学省は不登校児童生徒への支援のあり方について2019年10月、夜間中学の受け入れも可能と各都道府県の教育委員会等へ通知。長期的に不登校が続いている子供たちにとっては、少人数で手厚い学習サポートを受けながら学べること、また起立性調節障害の子供たち等にとっては学びの時間が適していることから、夜間中学は不登校支援において有効ではないかと考えられている。

 カタリバは2015年に島根県雲南市の教育支援センターで不登校の子供たちへの支援事業をスタート。都内の放課後施設での支援や、オンライン支援等、さまざまな事情で学校に行けない子供たちへ、学びの場を届けてきた。

 そして今回、カタリバが取り組む不登校支援事業が、文部科学省「夜間中学の設置促進・充実事業」に採択されたことを受け、足立区立第四中学校において夜間中学を活用した不登校支援の実証事業を開始した。この取組みでは夜間中学に通う不登校の子供たちに伴走するとともに、子供たちを円滑に受け入れるための体制づくりを行う。

 この取組みを通じて夜間中学へ通う2名の生徒は、「少人数なので先生に丁寧に勉強を教えてもらえて、問題が解けることで勉強が楽しいと思える」「今の自分にとっては普通の中学校より行きやすく、学校に通えるようになってよかった」と前向きなコメントを寄せている。

 今回の実証事業の対象生徒は、中学1年生~3年生に該当する年齢の人。ただし、足立区第四中学校では、都内在住または在勤の人、小学校を卒業していない人または不登校等のさまざまな理由により十分に学べなかった人、学齢を過ぎた人、高校を中退しあらためて学習をやり直したい人も対象者とし生徒を募集中。

 カタリバでは、不登校の子供たちがひとりひとりにあった学びの場を選択できるよう、不登校支援事業で得たノウハウを生かし、夜間中学を活用した新たな学びの場の提供を目指す。

《川端珠紀》

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