家庭では洋式が主流に
かつての学校は「和式トイレのみ」の学校が多かったです。その後、社会状況が変化し、子供達が暮らす自宅のトイレは、洋式であることが多くなっています。そういったことが原因となり、小学校入学時に1年生が幼稚園・保育所とのトイレの設備の違いで戸惑ってしまうことがあります。
トイレの洋式、和式はどちらも良さがあります。家庭のトイレは洋式の場合が多いようですが、洋式の方が体の体勢は楽なことが多いです。ただ学校のように一定数の人が利用する場所の場合、便器と肌とが直接触れることのない和式の方が良いという考えの人もいます。そういったこともあり、学校のトイレでは、改修をしても、1つか2つの和式トイレを残していることが多いです。
トイレの老朽化も問題に
トイレに関しては、和式、洋式の問題だけでなく、古くなっている等の問題もあります。古いトイレでは、梅雨時等にトイレの臭いがトイレの外まで漂ってしまうような学校もあります。また、コロナの流行において、学校のトイレ掃除を子供がする形で良いのかということが話題になりました。そういったことも踏まえ、現在、学校のトイレの改修を進めている自治体が多いです。
ただ、この問題で難しいことが公立学校では「学校長に決定権がない」ということです。トイレの改修は、予算規模も大きいことから、学校長の決断だけで実施が可能となるものではありません。自治体(市区町村)の予算と関係してきます。その自治体の経済状態がどのようなものであるかということが学校のトイレの改修にも大きく影響を与えます。また、優先順位としてトイレの改修よりも上位にくるものがある場合、たとえば、GIGAスクール構想や耐震工事等は、それらが優先されることとなります。
学校に対し、「学校の和式トイレが使えない」というような相談が寄せられた場合、これまで書いてきたようなことを保護者に伝えていくと良いでしょう。そして、相談先としては、学校だけでなく、行政(市区町村)や市区町村議会の議員が適当であることも伝えていきます。
学校が教育以外の目的で使われることも
トイレだけではないのですが、学校の施設が教育以外で使われる機会があります。たとえば、多くの公立学校は、防災時に避難場所として指定されています。日本は、地震、津波、大雨、洪水等、さまざまな自然災害の発生の多い土地です。避難所として学校が活用される際、避難してくる人には、高齢者や体の不自由な方も含まれます。古い和式のトイレしか無い状況では、避難所としては十分ではありません。こういったことを考えると、学校のトイレの改修等は、教育関係の予算だけでなく、他の分野の予算を使っていくことも十分考えられます。たとえば、防災関連予算や選挙の投票所として利用される学校では、選挙関連予算で体育館のトイレの改修をすることも良いでしょう。少しでも子供が暮らす環境が良いものになっていくと良いと思います。
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